自動車用のエンジンは新型が開発されては市販車に搭載されていきますが、そのタイミングはエンジンや搭載するクルマのイメージに大きく影響されるため、本来慎重に決定されるべきものです。
しかし時には間が悪いというか、タイミングが悪いというか、「なんでそこで新型エンジン積んじゃうかな?」というクルマがあるのも事実で、今回はそんな代表例を3つ、集めてみました。
スバル レックスEN05搭載型(3代目末期・1989年)
1年足らずで660cc化…
1980年代後半、スバルではスバル360cc以来搭載していた2気筒エンジンに代わる、軽自動車用の新型エンジンを開発していました。
順当にいけば他社で多用されており、スバル自身もコンパクトカーのジャスティで採用していた直列3気筒エンジンで良さそうなものですが、静粛性その他の性能でライバルを凌駕できる直列4気筒エンジン「EN05」の開発に成功。
それも2気筒エンジンのスペースに収まるコンパクトなものが完成したので、1989年6月、喜々として3代目レックスに搭載したものの、わずか10ヶ月後の1990年4月に軽自動車規格が変更されて排気量上限が660ccとなり、EN05も660cc版EN07へ更新されてしまいます。
この軽自動車規格の変更は唐突だったようで、三菱も画期的な5バルブエンジンを搭載した新型ミニカを短期間で660cc化するなど、各社とも規格変更に振り回された時期でした。
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トヨタ クラウン4000ロイヤルサルーンG(8代目後期・1989年)
セルシオより早く積め!最高級サルーンの意地
1989年に登場した初代レクサスLSは、内外装の質感が高いだけでなく、静粛性の高い4リッターV8エンジン1UZ-FEも評価が高く、国内でもトヨタ セルシオとして発売が決まります。
しかし、日本国内ではクラウンマジェスタ(1991年初代発売)が最高峰サルーンになる予定が、セルシオのおかげで格落ちになると不機嫌になったらしいのが、トヨタの最高級サルーンを自負してきたクラウンの開発陣。
「最高のエンジンはまずクラウンに」と、セルシオ発売前の1989年8月に1UZ-FEを搭載した、クラウン4000ロイヤルサルーンGを発売してしまいます。
もちろん2ヶ月後にセルシオが発売されればトヨタ最高級サルーンの座はアッサリ奪われてしまいますが、意地で新型エンジンを搭載したと後々語り草になりました。