オイルキャッチタンクとは、ブローバイガスに含まれるエンジンオイルなどの不純物だけを受ける装置です。一般的な乗用車には取り付けられておらず、後付けされることの多いパーツとなります。

通常、サーキット走行などのように、高回転で走る車に取り付けられ、サーキットでは取り付けが必要などの決まりがあることも。

オイルキャッチタンクの構造や効果、車検に関して解説します。

オイルキャッチタンクとは?

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オイルキャッチタンクとは、ブローバイガスに含まれているエンジンオイルや燃料などを取り除く装置です。

ブローバイガスとは、エンジン内に発生した燃焼ガスや未燃焼ガスです。ほとんどの燃焼ガスは触媒を介してマフラーから排気ガスとして排出されますが、全部が排出されているのではなく一部はエンジン内にとどまってしまいます。

そのガスをエンジン内にとどまらせないよう、PCVなどの還元装置を使いもう一度燃焼させているのです。

ブローバイガスに含まれているオイルや燃料内には、スラッジやカーボンなどの不純物が含まれています。

そのため再循環させると、どうしても通路に汚れが溜まってしまいます。使用年数が増えるほどにその汚れは固着し、簡単には取り除けない頑固なものになってしまいます。

そのため再循環させると、どうしても通路に汚れが溜まってしまいます。使用年数が増えるほどにその汚れは固着し、簡単には取り除けない頑固なものになってしまいます。

ブローバイガスの不純物を取り除かないと、エアエレメントやインテークマニホールドなどがオイルで汚れてしまいます。そうならないようオイルとガスを分離させ、オイルキャッチタンクを設けることで不純物を取り除いているのです。

オイルをオイルキャッチタンクで溜めておくことで、良好な車の状態を期待できます。

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基本的に後付けの装置

オイルキャッチタンクは基本的に後付けの装置です。外車やトラックなど一部の車両では購入時から取り付けられている車はあるものの、ノーマルの状態で取り付けられている車種はほとんどありません。

オイルキャッチタンクが必要であれば、容器やホースを購入する必要があります。また、ペットボトルや空き缶などを使い自作する方もいます。

オイルキャッチタンクの構造はさまざま

タンク内が空洞になっているだけのものから、セパレートタイプと呼ばれる仕切りがあるものもあります。仕切りは縦や横など種類によって違いはあるものの、仕切りを設けることでオイルを受けやすくしているのです。

また、オイルレベルゲージを採用しているタイプもあります。ゲージを設けることで、タンクを開けずに今どのくらいオイルが溜まっているのかひと目で確認することが可能です。

市販品では金属性のタンクを採用し、ブローバイガスを吸引するホース(IN)と、分離させたブローバイガスをエアダクトに戻すためのホース(OUT)2本が付属します。種類はセパレートタイプやゲージ付き、INとOUTのホースの長さが違うものまでさまざまです。

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どんな車にオイルキャッチタンクが必要?

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オイルキャッチタンクを必要とする車は、サーキットなどをよく走る車です。高回転域を頻繁に走行する車は、オイルが街乗りの車よりもかき混ぜられているので、ブローバイガス内にオイルが含まれやすくなります。

また、ブローバイガスが他の車より多く発生しやすい車種もあるので、そういった車に使用することをオススメします。

しかし、上記の車以外に取り付けてもOKです。もし気になるなら、一度取り付けてみてオイルの溜まり具合を見てみるのもいいでしょう。

サーキットでは装着が義務付けられている場合も

高速走行を目的としたサーキット会場では、オイルキャッチタンクの設置が義務付けられています。オイルをサーキット内に流してしまうと、大きな事故につながるためです。ただし、ブローバイガス還元装置が取り付けられている場合、この限りではありません。

サーキット走行はナンバーのない車でも可能です。つまり、保安基準に適合していない車でもサーキット走行ができるのです。

そして、保安基準に適合していないということは、なかにはPCVバルブを設置していない車も含まれます。ブローバイガスを大気開放している車は、ブローバイガスと一緒にオイルもまき散らすのでこのような条件を提示しているのです。

しかし、高回転で長時間運転すると、ブローバイガスにたくさんのオイルを含む可能性が高くなります。そのため、サーキット走行を頻繁に行うのであれば、オイルキャッチタンクの設置をオススメします。

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