エアコンの冷房・暖房や、A/Cボタンについての正しい使い方を解説。燃費への影響、エアコンの修理費用、悪臭の原因・メンテナンス方法なども。燃費をよくしてガソリン代を節約するためには、なるべく冷房・暖房を使わないようにしたほうがいい?という疑問にお答えします。

車のエアコンのA/Cボタンは冷房と除湿をするもの

車のエアコンの「A/C」と書かれたボタンは、エンジンの動力でコンプレッサーという機械を動かすためのもの。コンプレッサーが動くことによって、車内の空気を冷やす冷媒(エアコンガス)がエアコンの中を循環する仕組みです。

つまり、車のエアコンはA/Cボタンをオンにしても冷房と除湿をする機能しかなく、家庭用エアコンのようにエアコン自体が空気を温める機能はありません( 一部の電気自動車などを除く)。

車はエンジンの熱で温風を出している

多くの車でエアコンのA/Cボタンを押しても冷房と除湿の機能しかないのは、車にはエンジンという熱源があるから。熱くなったエンジンの冷却水に送風ファンの風を当てるだけで、車内の空気を温められる仕組みになっています。

エンジンから出る熱は通常捨ててしまうものなので、この熱を利用すればわざわざ暖房用にエネルギーを作る必要がなく効率が良いですね。ただし、エンジンが暖まり、暖房が効き始めるまで時間がかかることが難点です。

つまり、「車のエアコンをつけて温度を低く設定しても、全然涼しくならない」という場合は、故障ではなくA/Cボタンがオフになっているだけかもしれません。慌てる前に、一度確認しましょう。

また、オートエアコンでは一般的にエアコンをつけると自動でA/Cボタンも押された状態になりますが、意識的にA/Cボタンを切ってコンプレッサーを動かさずに暖房として使うことができます。

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車のエアコンのA/Cボタンは燃費と関係ない?

MOBY編集部では、猛暑日にA/Cボタンを押してエアコン(冷房)をつけた状態と、つけない状態で燃費に変化があるのか実際に検証してみました。

  • A/C+冷房をつけて走行した平均燃費→7.2km/L
  • どちらもつけずに走行した平均燃費→10.1km/L

燃費の差は約3.0km/L。つまり、夏場にA/Cボタンを押して冷房を使うと10~20%ほど燃費が悪化することが分かりました。

これは、高い温度の空気を冷媒で冷やす時、コンプレッサーの圧力がより必要となり、エンジンにかかる負荷が大きくなることが原因です。しかし、燃費が良くなるからといって車内でクーラーを切るのは熱中症の危険があります。気温によって適度に使用しましょう。

燃費が悪化しない冷房の適正温度は?

車の燃費が悪化しない冷房の適正温度は、日本車なら25℃、外車なら22℃とされています。注意したいのが、この温度よりもぬるくすれば燃費が良くなるわけではないということ。設定温度がこれより高くても低くても、燃費に与える影響はほぼ同じだそうです。

燃費が気になる人は、エアコンの設定温度を固定しておくとよいでしょう。

また、冷房の場合は、ある程度まで車内が涼しくなったら、内気循環に切り替えると効きがよくなると言われています。

暖房を付けても燃費が悪化しない理由は?

冷房と違い、車の暖房は燃費への影響はほぼありません。 A/Cボタンを押さずに送風だけで暖房している場合は、さらに燃費への影響は小さくなりますので、暖房をつけずに我慢するのはやめましょう。

また、冬場は外気でエアコンの冷媒を効率よく冷やすことができるので、 A/CスイッチをONにしても、必要とするコンプレッサーの駆動動力も格段に小さくなります。コンプレッサー自体の能力も向上しているため、燃費の悪化も数%程度に抑えられると言われています。