【劣化を防ぐヒント】車のエアコンをいたわる使い方

車のエアコンには劣化を防ぐ使い方があります。寿命を延ばす冷房・暖房の使い方をおぼえることで無用なトラブルを防ぎ、余計な出費を防ぐことにもつながります。

エアコンオン時は低い回転数で

エアコンはなるべくエンジン回転数の低い状態でオンにしましょう。エンジン側とコンプレッサー側の回転差を少なくすることで電磁クラッチの劣化を防ぐことができます。

スポーツ走行時はエアコンオフ

エアコンコンプレッサーはエンジン回転数に比例して回転数が上昇します。過剰圧力を逃がす保護機能は備えるものの、高回転までエンジンを回すスポーツ走行時は、なるべくエアコンをオフにした方がコンプレッサーの保護につながります。

定期的に冷却水量をチェック

構造が単純な暖房に関してはできることは少ないのですが、オーバーヒートを防ぐ意味でもまめな冷却水のチェックをおすすめします。

冷却水とはエンジンを冷やす役割をもち、ラジエーター液やクーラント液などとも呼ばれます。徐々に蒸発してしまうため、定期的な点検が必要です。

車の冷却水の点検・補充方法|漏れの見つけ方や交換時期はある?

A/Cをたまにオンに。使わないと故障する

エアコンコンプレッサーを長期間動かさないまま放置しておくと、可動部の潤滑剤が固着してしまう場合があります。その状態で無理に動かすと可動部に傷がつき、そこからエアコンガス漏れや可動部のガタに発展する恐れがあるためです。

そのためA/Cスイッチをたまにオンにして、エアコンコンプレッサーを定期的に稼働させた方が寿命は伸びる傾向にあります。

(広告の後にも続きます)

車のエアコンの故障?よくある症状と原因

夏も冬もよく使用するエアコンに不調があれば、つい故障と捉えてしまいがち。

しかし、エアコンが効かなくなる原因は故障以外にも、窓が空いていた、外気導入にしていた、ただの送風になっていた、何年もフィルターを掃除せずにホコリまみれになっていた、ということなどもあります。

エアコンが効かなくなった場合にはすぐに故障だと焦らずに、まずは原因となりやすいポイントをチェックしていきましょう。

暖房が効かない・暖まらない

原因1冷却水不足

冷却水不足になった場合には、室内側ヒーターコアまで冷却水が回ってこないため、ヒーターコアの温度は上がらず、温風は出ません。車によっては温風が出ない症状に陥る前に、オーバーヒートでエンジンが歪み、エンジンストップしてしまいます。夏冬に関わらず、冷却水はこまめに確認しましょう。

車の冷却水の点検・補充方法|漏れの見つけ方や交換時期はある?

原因2サーモスタットの故障

車のサーモスタットとはエンジンとラジエターホースの間に設置され、水温の温冷により開閉する弁を指します。

エンジン始動直後は、サーモスタットが閉じてラジエターへの流水経路を閉鎖して水温上昇を促進します。水温が上がってくるとサーモスタットが開いてラジエターへと冷却水を流し、走行風で冷やした冷却水を循環させます。これにより、エンジンの水温を安定させるのがサーモスタットの役割です。

経年劣化によりサーモスタットが開いたままになると、水温が上がりづらくなることから暖房の効きは落ちてしまいます。また、サーモスタットが故障した状態での高速走行で水温が低下しても暖房の性能は落ちてしまいます。

気温が低いほど水温は下がるため、暖房が必要な冬場こそ暖房性能が低下する症状が出やすい傾向にあります。

サーモスタットとは?原理・仕組み・構造から故障時の交換方法・費用まで

冷房が効かない・冷えない・ぬるい

原因1エアコンガス漏れ・ガス不足

冷房が効かなくなるもっとも多い原因がエアコンガス不足です。 エアコンガスが不足しても致命的に漏れていない限りは、エアコンガスを補充することで、性能を回復させることができます。

密閉されるエアコンガスは漏れることがないとされますが、 車は常に振動にさらされるため、実際には配管接合部分のわずかな隙間からガスが漏れ出てしまいます。

古い車ほど接合部分の劣化が進み、漏れる量が多くなる傾向にありますが、2〜3年でガス不足になる程度ならば正常範囲内といえます。

原因2コンプレッサー不良

コンプレッサー自体は、非常に強固で丈夫につくられているため、故障することはめったにありません。しかしエンジンの動力をベルトを介してコンプレッサーに伝え、断続させる電磁クラッチの不良により、エアコンが効かなくなる例が数多く報告されています。

電磁クラッチは、 エアコンをオンにすると電磁石に電流が流れてエンジン動力をコンプレッサーに伝えますが、壊れてしまうとコンプレッサーは回らなくなるため、エアコンからは冷たい空気が出なくなります。

電磁クラッチおよびコンプレッサーの修理交換は重整備となるため、整備工場に持ち込むのが得策です。