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ペットの防災対策! 同行避難の必要性や事前対策を紹介

防災ニッポン

熊本地震後に熊本市とその他16市町村にアンケートを行った際には、仮設住宅において6市町村でペットに関連したトラブルが発生しており、職員が訪問して飼い主に指導したり、注意勧告のチラシを配布したりするなどの対応が行われました。

主に、無駄ぼえやふんの始末、ほかの犬にかみ付くなどの問題が発生していることから、普段からしつけ、ふん尿の始末などを徹底することが必要です。

災害時は、飼い主も避難者も大きなストレスを抱えることになり、些細なことでも大きなトラブルに発展する可能性があります。避難所でみんなが少しでも快適に過ごせるよう、ペットの同行避難を検討している人は、最低限のマナー、しつけを日頃から心がけましょう。

自治体が行っているペットの防災対策

写真:PIXTA

ペットの防災対策は自治体により異なります。公民館など避難場所となる施設が動物の受け入れを想定していないことから、同行避難の体制が進んでいない自治体もあります。

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ここでは、いくつかの自治体の対応事例や事前に調べておきたいポイントを紹介します。

自治体の対応事例

まず、ペットの防災対策における自治体の対応事例を紹介します。

事例1.埼玉県川越市

埼玉県川越市は、市内のすべての避難所でペットを連れて避難できます。避難所で飼育できる動物の種類や飼い主の心得、注意事項も市のホームページに明記されています。

参考:埼玉県川越市「ペットの同行避難について」

事例2.大分県別府市

大分県別府市では、2023年8月から「ペット同伴専用避難所」を試行的に設置しています。ペットを飼っている人のみが利用できる避難所のため、飼い主も避難者にも精神的なストレスが軽減される効果が期待できます。

参考:大分県別府市「ペット同伴専用避難所の試行的設置」

事例3.石川県金沢市

石川県金沢市では2022年4月から、動物愛護管理センターで災害発生時に被災者のペットを一時的に預かる一時保護設備の供用を始めました。感染症のまん延対策や、飼い主が病気になった場合などに預けることも可能です。

参考:石川県金沢市「動物愛護管理センター一時保護設備について」

事例4.千葉県柏市

千葉県柏市はすべての避難所で屋外の同行避難が可能で、屋内避難についても受け入れスペースを設けている施設が多くあります。学校であれば音楽室や技術室のように、一部の教室をペットの受け入れ場所にするなど工夫されています。

参考:千葉県柏市「ペット避難」

事例5岡山県倉敷市

岡山県倉敷市ではペットの同行避難を基本としていますが、原則としてペットは屋外や個人の車中での避難となっています。ただし、2018年7月豪雨時には、避難所生活の長期化に伴ってペット同伴者専用の避難所を開設したこともあり、臨機応変な対応を行っています。

参考:岡山県倉敷市「災害時のペット同行避難について」

住んでいる自治体で事前に調べておくこと

災害時の同行避難の情報は、住んでいる自治体のホームページでチェックしましょう。
「自治体名 ペット 同行避難」と検索すると、災害時の同行避難のルールや詳細が確認できます。

特に以下の内容は、避難時に慌てないためにも調べておきましょう。

・同行避難ができる避難所
・避難所で飼育できる動物の種類
・同行避難のルール
・ペット用の食料や備蓄品の有無
・避難所が開設される基準

ただし、自治体によっては同行避難に関する記載がない場合もあるため注意が必要です。例えば、20自治体のうち2自治体しか同行避難に関するマニュアルがない県もあります。

自治体のホームページにペットの同行避難についての記載が見当たらない場合は、自治体の「防災管理課」などに相談し、事前にどのような行動を取ったらいいのか相談しておくとよいでしょう。

事前にしておきたい平常時の対策

ペットの同行避難時にトラブルにならないためにも、平常時から以下のような対策を行っておきましょう。

・同行避難ができる避難所までのルートの確認
・避難用品やペット用備蓄品の確保
・首輪や迷子札、マイクロチップなどによる所有者明示

また、地域で行われている避難訓練に参加し、同行避難を実際に行うことで、災害時の行動イメージがしやすくなります。

同行避難で注意すべきポイント

ペットの同行避難は、どれだけ自治体のマニュアルがしっかりしていても、ペットのしつけ、マナーなどが原因でトラブルになる可能性があります。

屋外にペットの避難スペースが設けられていても、鳴き声が大きいと避難者にかかる負担も大きくなります。

このような事態を避けるためにも、ペットが避難先でも落ち着いて行動できるように「ケージに慣れる」「無駄ぼえをさせない」などのしつけや、ふん尿を放置しないなど、マナーを守ることを普段から心がけましょう。

〈執筆者プロフィル〉
田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

<関連する記事はこちら>
災害時のペット(後編)日頃から備えておきたいこと

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