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パリの代表選考をかけた日本ボッチャ選手権でエースたちが掴んだもの

パラサポWEB

近年、国内のBC4で圧倒的な力を誇ってきた。予選で東京パラリンピック日本代表の江崎駿に敗れ、追い込まれたかと思いきや、「(3連覇のプレッシャーがあったが)負けたことで気持ちを切り替えられた」と内田。決勝は、予選の反省からリスク管理をして臨み、第1エンドからターンオーバーを奪って7-3で勝利した。

内田はBC4男子で日本一になり、パリへの道をつないだ

<BC3>

大会前、日本代表の井上伸監督が「拮抗していて見どころが多い」と語ったBC3男子は、若手が躍動。4つに分けたリーグの各1位が決勝に進む予選では、東京パラリンピック(ペア戦)銀メダルの河本圭亮が髙橋祥太に、同銀メダルの高橋和樹が21歳の鵜川健介に敗れるなどの波乱が起こった。

緻密な戦略と精度の高さでナンバーワンに上り詰めた有田

パリへの道を閉ざされたライバルたちを尻目に決勝に進出したのは、世界ランキング13位の有⽥正⾏。観客席の熱気なのだろうか、会場となった墨田区総合体育館の室温が上がり、有田はボールが転がりにくい状況下で距離感を修正していった。2点リードで迎えた最終エンドは、球数を使わずに自球をジャックボールに寄せると、挑戦者の髙橋祥太を退け、2大会ぶりにチャンピオンに返り咲いた。

髙橋祥太(左)が2位、鵜川健介が3位に入った

初めてのサーフェスで「難しかった」と有田。「ランプオペレーターとのコンビネーションも含め、細かいことも共有し、しっかり準備して臨めた」と安どの表情で語る姿が印象的だった。

二人三脚でボールの研究をしてきた、妻でランプオペレーターの千穂さんも「今大会に向けて『このボールをこうしよう』と、ふたりで会話を積み重ねてきた。それが決勝で発揮できたかな」と明かして喜んだ。

東京パラリンピック銀メダル(ペア戦)の高橋和樹はパリへの挑戦を終えた

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女子は伸び盛りの17歳、一戸彩音が連覇を達成した。同クラスはパリの日本代表出場権未獲得。一戸は「3月のポルトガルの大会で有田選手とパリパラリンピックの権利を獲得して、ペア戦、個人戦ともに金メダルを獲りたい」と力強く宣言した。

緊張もあったというが、笑顔で大会を締めくくった一戸

<BC2男子>

そして、大会のトリを飾るBC2決勝。男子は日本が誇るダブルエースの対決となり、それぞれの応援団やボッチャファンが固唾をのんで見守った。

廣瀬隆喜の4連覇を阻止したい東京パラリンピック金メダルの杉村英孝だったが、準決勝で佐藤駿に2点リードされて最終エンドを迎え、スーパーショットを連発させて逆転。シビれる展開に本人も「感電しそうでした」と表現するほどだった。

準決勝は最終エンドで杉村が5得点。見事な逆転勝利に会場は盛り上がった

その杉村は、決勝でも魅せた。廣瀬にリードを許す中、最後の一球で形勢逆転のチャンスを作り出したが、廣瀬のボールをジャックに寄せてしまい、6-1で敗れた。

一方の廣瀬は、ライバルを意識しすぎず、自身のパフォーマンスに集中したと語りつつも「杉村選手はテクニシャン。ヒットの強弱も変えながら、頭をフル回転させた」と明かし、連覇への強い思いを貫いた。

雄たけびがトレードマークの廣瀬は、パワーが武器だ

第3エンドで廣瀬がコート奥のラインぎりぎりに投げたロングのボール、そしてその後、ふたりが見せたせめぎ合いはまさにボッチャの真骨頂だった。

大会後、パリ2024パラリンピックに内定した廣瀬と杉村。今年の夏、ふたりはBC1の遠藤とともにチームとしてパラリンピック3大会連続のメダルを目指し、4年連続で日本一に輝いた廣瀬は個人戦ではまだ手にしていないメダルを獲りに行く。

「自分のボッチャは未完成」と話した杉村

【TOYOTA presents 第25回日本ボッチャ選手権 】
BC1男子:中村拓海
BC1女子:遠藤裕美
BC2男子:廣瀬隆喜
BC2女子:蛯沢文子
BC3男子:有田正行
BC3女子:一戸彩音
BC4男子:内田峻介
BC4女子:岩井まゆみ
BC1男子で優勝した中村

text by Asuka Senaga
photo by Takamitsu Mifune, X-1

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