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津波は地震以外でも発生する? その原因を紹介

防災ニッポン

・2021年:小笠原諸島の硫黄島の南方約60kmにある海底火山(福徳岡ノ場の火山)
・2022年:フンガ・トンガ-フンガ・ハアパイの火山噴火

2022年に南太平洋・トンガ諸島で起こったフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイの火山噴火では、日本から約8,000km離れているにも関わらず、日本国内で1mを超える津波が観測されました。なお、「津波警報」が発表されたのは、潮位変化が確認されてからでした。

津波警報の発表までに時間がかかったのは、観測された時点では潮位変化のメカニズムが明確ではなかったためです。

津波が発生した原因は火山の噴火によって生じた空気の振動が海面変化を生じさせたといわれていますが、実際には謎が多く解明されていない部分もあります。

また、地震による津波であれば震源から近いほど津波高も大きくなりますが、フンガ・ハアパイの津波では遠く離れた日本の方が潮位は大きくなりました。

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このように、同じ津波でも、原因が地震と火山では性質が異なる点に注意しなければなりません。

土砂災害による津波

土砂災害が発生した際に、土砂が海水に大量に流れ込むことによって津波が生じるケースもあります。

日本では1792年に島原市雲仙岳の眉山が山体崩壊して、大量の土砂が有明海に流れ込んで天草に向かって大津波が発生したとされる「島原大変肥後迷惑」が伝承されています。

近年では2018年にインドネシア西部スンダ海峡にある火山島(アナク・クラカタウ)の噴火による山体崩壊が発生し、実に東京ドーム200杯分に相当する土砂が海に流れ込むことにより津波が発生し400名を超える死者を出しました。また、島の半分近くが消失するなど大きな被害をもたらしました。

原因不明の津波もある

写真:PIXTA

津波の原因がわからないケースもあります。例えば、2023年10月9日の午前6時40分以降、伊豆諸島や千葉、鹿児島などの太平洋側の広い範囲で10~60cmの津波を観測しました。

気象庁によると、同日の午前5時25分頃に発生した伊豆諸島の鳥島近海を震源とする地震に関連しているとしつつも、津波を引き起こすほどの地震の規模ではなかったことから、「火山活動や海底地すべりなども考えられるが、詳細は不明でわからない」としています。

また、地震による津波が予測されていなかったこともあり、津波が到達してから津波注意報が発表されました。

上記のことからわかるように、津波が到達してから発生に気づくケースがあることや、津波の規模がさらに大きかった場合は、被害が拡大していた恐れがあることを知っておきましょう。

津波に備えよう

津波は地震以外にも火山や土砂災害によってもたらされることもあり、原因が解明されていないケースもあります。

地震以外の原因で発生する津波は、発生回数そのものが少ないこともあって、地震による津波ほどは知られていません。また、津波注意報や津波警報を発表する気象庁もすべての津波に迅速な対応ができるとも限りません。

フンガ・ハアパイで起こった津波や、2023年10月9日に太平洋側の広い範囲で起こった津波のように、津波が到達してから津波注意報・警報が発表されることもあります。また、規模の大きい津波だと、避難情報がないまま逃げ遅れて津波に巻き込まれる可能性もあります。

「津波は地震だけで起こるものではない」という認識を持ち、海に異変を感じた場合は注意報・警報に頼らずに自分で身を守る行動を取るよう心がけましょう。

〈執筆者プロフィル〉
田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

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