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二刀流からスノーボードに専念。ミラノ・コルティナで表彰台を目指す小須田潤太の本気

パラサポWEB

「篤さんのようになりたい」。そんな憧れで始めた陸上競技は、山本と同じ短距離と走り幅跳びで大会に出場した。アクティブな性格ではなかったそうだが、試合でいろいろなところに行く楽しさも知ったという。

小須田 最初は想像以上に義足で走る難しさを感じました。競技人口が少ないから、すぐに国内3~4番になれましたけど、圧倒的トップの篤さんを目指していたおかげで、とにかく上だけを見てチャレンジを続けることができたんだと思います。

「やるしかない」スノーボードに専念

フィジカルも課題。多いときで3合の白米を食べるなどして増量に励んでいる

山本と練習をするために「単身赴任」で関西に拠点を移す行動力なども実を結び、東京パラリンピックに初出場。山本の背中を追い、スノーボードとの二刀流生活も送ったが、パラリンピックでは夏冬共7位。国際舞台を踏んで「メダリストとそれ以外」の違いを感じるようになった。

小須田 スノーボードは子どもの頃、家族で年に一度、遊びに行っていたくらいの経験しかありませんでした。でも2017年に篤さんが大会に出ていると聞き、滑りを見て「陸上競技ではかなわないけどこれなら勝てるんじゃないか」と思ったのがスノーボード挑戦のきっかけでした。その後、パラリンピックに出場したことで「メダルが欲しい」気持ちが強くなっていきました。

それまで「日本一になって篤さんに勝ちたい」という目標を掲げて猛進してきた小須田だが、その目標は「メダル獲得」に変化。東京パラリンピックが終わった時点で「パリでメダルを目指すよりは、イタリアでメダルを目指すほうがいいのでは」と考えるようになった。北京パラリンピックで足首を負傷し、その後すぐに調子を戻せなかったきっかけもあり、しばらくはスノーボード一本に絞ることを決めた。

小須田にとって傷跡は挑戦の証。転倒も、骨折も意に介さない

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小須田 スノーボードに振り切って取り組むのがメダルへの最短ルートかなと考えたんです。今は2026年のミラノ・コルティナの金メダルを目指しているので、自分の技術を上げるために走量を増やすことが必要だと感じました。一本に絞ると技術的な課題も見えてきて、これまでよく2競技もやっていたなと思うほど、時間が足りないと感じますね。

2023年は夏も雪上でスノーボードをする生活を送った。左腕の骨折も経験したが、今シーズンを本格的にスタートさせる前には愛娘の誕生にも立ち会い、気持ちを新たにして再び雪上に向かった。

小須田 子どもってできなかったことがどんどんできていくし、そんなときにうれしそうな表情を見せますよね。自分に子どもが生まれて改めて感じるのは、日々、できなかったことができていく楽しさと喜びです。スノーボードでも、できないことにどんどん挑戦していかないとダメだと常に思っていますし、そういった挑戦を大人になってからもできるって、すごく恵まれた環境にいるなと思います。

難易度の高いコースにも果敢に立ち向かう。スノーボードにかける小須田がミラノ・コルティナ冬季パラリンピックで滑走する姿が今から楽しみだ。

生後間もない愛娘を抱く小須田(2023年10月、千葉県内にて撮影)

text by Asuka Senaga
photo by Hiroaki Yoda

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