top_line

「エンタメウィーク」サービス終了のお知らせ

大学生の視点で考えた防災グッズ!災害を知るきっかけに

防災ニッポン

吉井瑞樹さん(20)、沼田真旺さん(21)、鄧澤彬さん(25)、のグループは、子どもの防災教育に役立つボードゲームを考えました。
吉井さんは子どもの頃、地元で発生した大地震で被災した経験があります。当時の資料や写真を展示した防災ミュージアムの見学、非常食を食べる防災給食などを体験し、幼いころから防災教育に触れる大切さを感じてきました。
防災教育に関する文献をできる限り読み、小さい子でも理解できそうなフレーズを吟味しました。「すぐに周りを見回し、物が落ちそうなところから離れよう」など地震発生直後にとった方が良い行動を時系列に沿って配置し、実践的なゲームになるよう工夫したそうです。

東日本大震災の論文を参考に

沼田さんは、大学で受けた災害報道の授業で紹介された東日本大震災の論文を調べ直しました。
岩手県釜石市では市内の小中学生の生存率が99.8%と高く、その理由の一つに日頃からの防災教育が挙げられています。その内容は、「災害時には想定外のことが起きるので、事前に決められた通りに行動すれば助かるわけではない。周囲の状況を見て自分の命を守るためにどうすべきか、自分で考えて瞬時に行動に移そう」というものだったそうです。
この教育のおかげか、東日本大震災の時、釜石市内の中学校では地震で揺れているうちから中学生が「津波が来るぞ、逃げろ!」と叫びながら走り出し、近くの小学生も後を追いました。指定された高台の避難所に到着した後も崖が崩れかかっているのを見て、さらに高台に避難し、自分や周囲の人たちの命を守りました。
この論文を参考に、ゲームを作る際は、災害発生時に起こり得る場面を想定して、子ども自身が、どう行動するべきかを考えられる形式を心がけたそうです。沼田さんは「子どもが防災について考えるきっかけを提供できれば」と話しています。

イラストを多用しカラフルなデザインに

ゲームはイラストを多用してカラフルに仕上げました。デザインを担当した鄧さんは中国からの留学生。「私の住んでいる地域では日本のように地震が頻繁に起きないので、ゲームを作る作業を通して自分自身も勉強しました。子どもに実際に遊んでもらって感想を聞き、さらに改良を加えていきたい」と話します。
写真説明:防災すごろくの最終確認をする沼田さん、鄧さん、吉井さん(左から)

ペット用防災バッグ

桑原莉乃さん(21)と佐々木柚希さん(21)、遠藤武尊さん(20)が考えたのは、「ケージにもなるペット用防災バッグ」です。
ペット用の防災グッズを入れたリュックの中心部分を開くとソフトケージになり、その中に小型犬や猫など体が小さいペットを入れられる仕組みになっています(=図)。

説明:ケージにもなるペット用バッグの完成予想図

いざという時、すぐに避難できるように

広告の後にも続きます

桑原さんと佐々木さんは自宅で小型犬を飼っていて、大切な家族の一員なのだそう。佐々木さんの家では愛犬が心臓病になり、手術を受けるために東北地方の実家から首都圏まで移動した経験があります。佐々木さんはその時、母親が犬を入れた専用のカートと自分のスーツケースを引いて苦労して運んでいる様子を見て、いざという時にすぐにペットと逃げられるバッグの必要性を感じたと言います。

袋の部分には、ペットが2週間ほど避難所で生活できる防災グッズを入れておきます。
防災グッズは、
・ペットシーツ
・ご飯 ・おやつ ・水  ・ブランケット
・ウエットティッシュ ・リード
・マナーポーチ(糞を入れられる袋、匂いを軽減)
などを入れることを想定しているそうです。

■ペット用備蓄品の例

写真説明:ペット用備蓄品の例。上が猫用、下が犬用。環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」より、ペット用品の備蓄例

中心部を開くとケージに

このバッグは、中心部を開くと、ケージのような空間ができ、避難所でもこの中で生活できるようになっています。キャリーバッグのように引いて移動することもできるように考えました。
ただ、道路が寸断されたりするなど、災害によってはキャリーバッグで移動ができないことも考えられます。そのような時のためにスリングも袋の中に入れておき、前面にペットを入れ、ペット用の備蓄品をリュックで背負って移動できるようにするそうです(=イラスト)。

同行避難が基本

近年、ペットは家族の一員 であるという意識が一般的になりつつあることから、ペットと同行避難をすることは、飼い主である被災者の心のケアの観点からも重要だとされています。このチームでは、ペット用防災バッグを考えるにあたり、災害時のペットとの避難の動向についても調べました。

熊本地震では、ペットがいるため車中泊を選んだ人多数

2016年の熊本地震の後、熊本県が2297人の被災者を対象に実施したアンケートでは、避難所に行かず車のなかで寝泊まりをする車中泊をした人は7割近くに上りました。226人は、車中泊をした理由として「ペットがいるため」と回答しており、ペットのために避難所に行かない選択をしていた人が実際に多かったことがわかりました。
ただ、その後、ペットと一緒に避難ができる避難所は増えており、同行避難は基本となりつつあります。ホームページで避難所ごとにペットの同行が可能かどうかなどについて詳しく通知している自治体が増えていることもわかりました。

「動物が苦手な人への配慮も大事」

調査に当たった遠藤さんは、動物が苦手な人への配慮も重要だと改めて感じたそうです。「飼い主があらかじめしつけをしておくことはもちろん、行政側も、動物が苦手な人やアレルギーのある人なども快適に過ごせる避難所づくりをする必要があると思いました。今後の動向も注目していきたいです」と話していました。

写真説明:グループで調べ作業をする佐々木さん、桑原さん、遠藤さん(左から)

<関連する記事はこちら>
災害時はペットと避難!グッズと訓練で備えたい

  • 1
  • 2
 
   

ランキング(くらし)

ジャンル