同じくパリ2024大会への切符を勝ち取っているのが、陸上競技砲丸投げ(F20)のグローリア・アグブルマグノン。「今年のパラリンピックデーは、去年よりもさらに盛況ね。みんな来年のパリ大会が楽しみで、私も今からエキサイトしています」と弾けるような笑顔で答えてくれた。
みんなが参加しやすい、広く開かれたイベント
車いすバスケットボールを体験する来場者たち広い会場には何箇所も競技スペースがあり、同時にいくつものデモンストレーションが行われ、来場者はたくさんのスポーツが楽しめる。
最初に選手たちが競技のデモンストレーションを行い、続いて参加者がチャレンジしていく。来場者はファミリー層が多く、幼い子どもたちも親と一緒に参加していた。
車いすテニスを体験した2人の少年は、「テニスは普段からやっているんだけど、車いすは初めて乗ったので操作が難しかったな」と感想を語ってくれた。
2028年開催のロサンゼルスパラリンピックへの正式競技入りが期待されるクライミング。体験のため、広場には大きな壁が設置された他にも多数のブースが。自転車競技体験(左上)、車いすユーザーも体験していたスケートボート(右上)、パワーリフティング体験(左下)、パリ2024パラリンピックのチケットが当たるゲーム(右下)
10月にもかかわらず暑いほどの太陽が照りつける快晴の空の下、会場にはどんどんと人が集まり、競技を体験するために長い列ができるほどだった。会場の広場に直結しているレピュブリック駅はパリ東部の起点として5本のメトロが乗り入れ、駅前にホテルや大きな商店が並ぶ、人の流れがとくに多い場所だ。
大人も子どもも楽しめる、視覚を遮断してゲームにトライする体験コーナー偶然通りかかった家族連れや若者のグループが、面白そう、入場自由でスポーツ体験もできるの?と会話をしながら気軽に入場していく。
開催場所の便利さに加え、荷物のセキュリティチェックさえ受ければ入場フリー、参加無料という垣根の低さ。DJセットからは常時音楽が流れてフェスさながら、堅い雰囲気はみじんも感じさせない。フランス国内メディアの注目度も高く、お昼のニュースでもイベントのにぎやかな様子が流れた。
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入場自由の野外イベントのため正確な数字は出ないものの、主催者の発表によれば数万人規模の記録的な来場者数だったという。パリ2024パラリンピックのチケットは半数以上が25ユーロ以下と手頃な価格で、家族パスの割引なども充実している。公式販売開始日前日というピンポイントのタイミングで行われたこのパラリンピックデー。パラリンピック競技の周知とパラスポーツの普及、そしてチケット発売のプロモーションという効果は十分に得られたはずだ。「Games Wide Open」をスローガンに掲げるパリ2024大会は、今回のイベントのように街にスポーツが溶け込んだ、高揚感ある場となるのではないだろうか。
text by Yuka Miyakata(Parasapo Lab)
photo by Mika Inoue