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集中豪雨には雨雲レーダーで備える!高解像度降水ナウキャストと降水短時間予報の違いや使い方を紹介

防災ニッポン

また、電波の性質から雪と雨が混在する「みぞれ」の電波を照射しやすい特徴があります。電波が照射されている雨雲部分の気温が0℃前後だと、実際よりも雨雲が強く観測されることもあります。

このように、実際の雨雲の強弱と雨雲レーダーで表示される雨雲の強弱には違いが生じることはあるものの、基本的には高い精度で雨雲の位置や、雨や雪の強さを捉えることができます。

引用:気象庁「高解像度降水ナウキャスト

上記画像は、2023年9月4日の10時30分の高解像度降水ナウキャストです。茨城県に、赤や紫の強い雨雲がかかっていることがわかります。降水ナウキャストを使って1時間後の11時30分の雨雲の予測を見ると、赤や紫の発達した雨雲が北上していることがわかります。

引用:気象庁「高解像度降水ナウキャスト

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このように、1時間先までの雨雲の動きを高い精度で予想できるのが高解像度降水ナウキャストです。特に低気圧や台風のように、風が強く雨雲の動きがある程度わかっている気象現象に対して精度は高いですが、反対に風が弱く雨雲の流れがわかりにくい停滞前線や夕立などの気象現象に対しての精度は低くなります。目先の雨の状況や、大雨リスクを把握したいときに便利です。

降水短時間予報は数時間後の予測に強み

「降水短時間予報」は、雨雲レーダーやアメダスで得た降水量分布を利用し、降水域の追跡や移動などを考慮して、6時間先までの降水量分布を予測したものです。2018年6月5日からは15時間予報の運用を行っていますが、7時間先から15時間先までの予測に関しては、大気の状態を数値的に計算して予報をおこなう「数値予報」が用いられています。

引用:気象庁「降水短時間予報

上の画像は2023年9月4日10時30分の1時間降水量で、9時30分から10時30分までに実際に降った雨量となります。次の画像は、さきほどの1時間降水量に基づいて予測された、6時間後の予想降水量です。数時間先の天気を把握したいときに便利ですが、予報時間が長くなるほど精度が低くなります。

引用:気象庁「降水短時間予報

降水ナウキャストと降水短時間予報の違いと活用方法について

高解像度降水ナウキャストと降水短時間予報の違いと活用方法を下の表にまとめています。

雨雲レーダーを使うポイント

雨雲レーダーは、過去から現在の雨雲の動きや盛衰、今後大雨になりやすい場所を予測するときに便利です。ここでは、高解像度降水ナウキャストを例に具体的な方法を紹介します。

例えば、下の画像は2023年9月4日11時の高解像度降水ナウキャストですが、赤や黄色の発達した雨雲の帯(降水域Aと降水域B)があります。

引用:気象庁「高解像度降水ナウキャスト

次の画像は2時間経過した13時の高解像度降水ナウキャストですが、降水域Aも降水域Bも雨の強さは変わらず、少しずつ北上していることがわかります。

このペースだと、数時間以内に東北地方の太平洋側に降水域Aがかかり大雨になる可能性があります。また、雨が止んでいた関東地方の太平洋側においても、再び降水域Bがかかり始めて大雨になるかもしれません。

また、中部地方にところどころ発達した雨雲が発生していることがわかります。この周辺は大気の状態が不安定なため、突然の雨や雷雨の可能性もあります。

高解像度降水ナウキャストや短時間降水予報で雨雲の動きを確認することで、レジャーや外出をする際に注意ができるほか、大雨に備えた避難準備を行うことができます。ぜひ高解像度降水ナウキャストや短時間降水予報などの雨雲レーダーを活用しましょう。

雨雲レーダーと組み合わせて使いたい気象情報

雨雲レーダーと他の気象情報を組み合わせることで、災害のリスクを早めに知ることができます。雨雲レーダーと組み合わせ使いたい気象情報を下の表にまとめています。

アメダス 実際の降水量を調べることができる
キキクル 降雨によってどれくらい災害のリスクが高まっているかリアルタイムで把握できる
警報・注意報 現在出ている警報や注意報がわかる

雨雲レーダーを使いこなせるようになると、早めに大雨のリスクを知ることができるため、災害への備えもゆとりを持ってできます。ぜひ、雨雲レーダーを活用して降水による災害に備えましょう。

〈執筆者プロフィル〉
田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

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