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地震による被害の種類とは?防災方法を知って安心して暮らそう

防災ニッポン

地震による構造物の倒壊リスクは建築された年によって変わり、特に1981年6月1日よりも前の構造物は要注意です。

建造物倒壊予防は耐震化工事

地震による構造物倒壊を防ぐためには、建物の強度を高める必要性があります。旧耐震基準で建築されている場合、建物の耐震化の工事が必要です。構造物の耐震化には費用がかかりますが、自治体によっては補助を受けられる場合もあります。1981年6月以降の建物でも不安に感じる場合は、耐震診断を受けて耐震化工事が必要か確認しましょう。

地すべり

地震の揺れによって、斜面の一部がすべり落ちる地すべりが発生する場合があります。地すべりが発生した場合、すべり落ちた方向に家屋や道路があると家屋の倒壊や道路の寸断などの被害が発生します。

地すべりの危険区域では迅速な避難を

まずは自分の生活圏における地すべりのリスクをハザードマップで確認しましょう。
国土交通省の重ねるハザードマップでは、地すべりの警戒区域や特別警戒区域、人家に影響を与える可能性があるエリアが把握できます。

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引用:国土地理院「重ねるハザードマップにて 土砂災害 選択」

黄色は警戒区域、赤は特別警戒区域、ピンクは地すべりによって人家に影響を与えるおそれのあるエリアです。地震が発生したときは、これらのエリアに近づかないようにしましょう。

また、地すべりの危険個所に入っている場合は、地震発生後に迅速な避難が必要です。避難所までの避難方法やルートを改めて確認しましょう。

避難が難しい場合は、土砂や建物に押しつぶされる確率を減らすために、最上階の部屋に避難するなどして身を守りましょう。

液状化

地震の揺れが原因で、地盤が液体状になる液状化現象が発生する場合があります。液状化が発生すると、家屋が傾いたり道路が寸断されたりします。それによりガス管や水道管が破損しライフラインが停止する、物流の停止や交通障害が発生するなどの二次災害が発生します。

液状化対策、自治体に相談も

液状化が発生しやすい場所は、埋立地や干拓地など土壌の水分が多いところです。まずは生活圏における液状化のリスクをハザードマップで確認しましょう。

国土交通省の重ねるハザードマップで、地形に基づく液状化の発生傾向が把握できます。
「地形区分に基づく液状化の発生傾向図」を表示させると、埋め立て地や昔の河道など、液状化の発生確率が高い地域は紫色で表示されます。

引用:国土地理院「重ねるハザードマップ」

液状化による家屋の被害を防ぐためには、地盤改良や杭を地盤の深いところに打ち建物を安定させる方法などがあります。どちらも大規模な工事や費用が発生しますが、自治体で補助制度を設けているところもあるので、液状化のリスクがある地域にお住まいの場合は、自治体に相談してみるのもよいでしょう。

二次災害は最初の災害をきっかけに起こる別の被害

二次災害とは、最初に発生した災害がきっかけで別の被害が発生することです。地震の場合、地震の揺れが原因で火災や津波などが発生し起こる被害が二次災害となります。

一次災害が発生してから二次災害が発生するまでタイムラグが生じることも多く、一次災害の直後に正しい行動を取ることで二次災害の被害を大幅に防ぐことも可能です。二次災害に巻き込まれないためにも、二次災害の種類や対策を知りましょう。

ここでは、地震による二次災害の種類と対策方法を解説します。

暖房器具や家具転倒による火災、通電火災も

地震火災は、地震による揺れで暖房器具が転倒して可燃物に接触しておこるほか、家屋の倒壊や家具の転倒で電気配線が破損することで発生します。また、地震による停電が復旧した時、スイッチが切れていなかった電化製品に電気が通ることで発生する通電火災も二次災害です。

家具を固定、避難するならブレーカーは落として

地震火災を未然に防ぐためには、家具が転倒しないように固定し暖房器具の近くに物を置かないようにしましょう。また、ガスを使っている場合は震度5以上になるとガスが自動で遮断されるマイコンメーターの設置をおすすめします。

また、地震発生後は通電火災を防ぐために電化製品のスイッチを切り電源プラグをコンセントから抜き、外に出るときはブレーカーを切りましょう。ただし、地震発生直後に建物の倒壊や津波のように命の危機が迫っているときは、通電火災の対策をしている間に逃げ遅れるリスクもあるため、身の安全を第一に行動しましょう。

電気、ガス、水道…ライフライン寸断

地震が発生すると、電気、ガス、水道、通信設備、物流、交通機関などのライフラインが寸断される場合があります。ライフラインが寸断されることで、「食料や水が入手できない」「真冬で暖が取れない」などの状況になり命の危機に陥ることも地震の二次災害です。

水や食料、毛布など備えを

ライフライン寸断に備えるためには、防災備蓄が有効です。特に水や食料、毛布などの備えは命を守ることにつながります。

ライフライン寸断に備えるためにも、最低限、下記の備蓄品は用意しておきましょう。

・水:1人1日3ℓ×3日分
・食料:3日分×人数分
・簡易トイレ:1日1人5回×3日分
・トイレットペーパー(ティッシュとしても代用):1日1人1ロール×3日分
・毛布:1人1枚
・懐中電灯:1人1つ
・モバイルバッテリー:1人1つ

津波

津波も地震の発生によって起こる二次災害です。津波は、震源が海底の場合、断層が動いて海底の地盤が盛り上がったり沈下したりすることにより海面が変動し、陸地に向かって海水が押し寄せてくる現象です。建物の損壊やライフラインの寸断、火災などの被害が発生します。

津波の浸水リスクはハザードマップで確認!

津波に備えるため、まずは自分の生活圏における津波のリスクをハザードマップで確認しましょう。重ねるハザードマップで津波の浸水エリアや予想されている浸水深がわかります。

引用:国土地理院「重ねるハザードマップにて 津波 選択」

津波から命を守るためには、地震発生後、津波が到達するまでに安全な場所に避難しなければなりません。周辺の津波避難所や津波タワーを把握した上で、地震が発生したときにどこへ避難するか家族で話し合っておきましょう。

余震

大きな地震が発生すると、同規模の余震が発生することがあります。余震によって崩れかけていた建物が倒壊するほか、火災が発生するなどの被害が起こる可能性があります。

余震への対策

余震への対策方法は、地震による一次災害や二次災害への備えと同じです。本震で被害がなくても余震で発生するケースがあるため、最初の大地震と同程度の余震に対して、1週間ほどは注意しましょう。

また、1回目の地震でライフラインが寸断されていない場合は、余震に備えてスマホを充電する、タンクに水を貯めておく、などの対策をしましょう。

過去に起きた地震の災害事例

日本では繰り返し大きな地震が発生していますが、特に甚大な被害が発生したのが関東大震災・阪神淡路大震災・東日本大震災です。ここでは、それぞれの災害事例を紹介します。

関東大震災

関東大震災は、1923年9月1日に発生した神奈川県西部を震源とするM7.9の大地震で、死者数は10万人以上と日本の地震災害史上最大の被害をもたらしました。

土曜の正午近くに発生したため、昼食時で火を使っていた家庭が多く、地震で倒れた家屋から次々と出火したことにより東京や横浜で大火災に見舞われました。死者の9割が火災で亡くなっており、地震の二次災害による被害が大きかったのが特徴です。

阪神・淡路大震災

阪神・淡路大震災は、1995年1月17日に発生した淡路島北部を震源とするM7.3の大地震で、死者数6,000人以上と大きな被害をもたらしました。

死因の多くは家屋の倒壊や家具の転倒による圧迫死であり、地震の一次災害による被害が大きい特徴があります。また、火災や停電によって人工呼吸中の患者に酸素供給できなくなったことによる二次災害で亡くなった死亡例の報告もあります。

東日本大震災

東日本大震災は、2011年3月11日に発生した三陸沖を震源とするM9.0の大地震で、死者数は1万5,000人以上と大きな被害をもたらしました。

死因の多くは津波による溺死であり、地震の二次災害による被害が大きい特徴があります。また、死者数の約4.2%は建物の倒壊や家具の転倒による圧死となっており、地震の一次災害による被害も発生しています。

まとめ

地震の被害には、地震の揺れが原因で発生する一次災害と、一次災害がきっかけとなって別の災害が発生する二次災害があります。

火災で多くの人が亡くなった関東大震災や、津波で多くの人が亡くなった東日本大震災のように二次災害の被害が多いケースもあれば、家屋の倒壊や家具の転倒で多くの人が亡くなった阪神・淡路大震災のように、一次災害の被害が大きくなる場合もあります。

近い未来に、南海トラフ巨大地震や首都直下型地震などが予想されており、過去の災害を上回る地震が発生する可能性もあります。

地震でどのような災害が発生するのか、そして災害発生時にはどのように行動したらいいのかを改めて考え、災害時に適切な行動がとれるように備えましょう。

<執筆者プロフィル>
田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

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