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「高潮」と「津波」の違いとは?それぞれの災害に適切な対応策を知ろう

防災ニッポン

気圧が1hPa下がると海面は約1cm上昇します。たとえば、通常時の気圧が1,000hPaだった場合、950hPaの台風が接近すると50cmの海面上昇が起こります。特に潮位が高い満潮時や大潮の時期に台風接近が重なると高潮被害が発生しやすく、被害が大きくなることがあります。

また、岸に吹き寄せる風は強くなればなるほど潮位も高くなる傾向があります。特にV字の湾や遠浅の湾は、吹き寄せによる潮位の上昇も大きくなります。

高波の発生原因

「高波」は、強風や暴風が吹いている場合や近海に台風が発生した際、強い風によって海面が大きく振動し起こります。

その領域で吹いている風によって発生した波を「風浪」、風浪が遠くに伝播した波を「うねり」と言います。また、風浪やうねりをまとめて「波浪」と言います。

引用:気象庁「波浪の知識

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波浪のうち、波の高さが高いものが高波です。「何m以上になると高波」といった具体的な基準はありませんが、気象庁や気象台では波浪注意報や波浪警報を出す基準を設けています。
たとえば、東京都では波浪注意報の基準を有義波高1.5mと定めています。有義波高とは、ある地点で連続する波を観測したときに、波高の高い方から順に3分の1の個数(例えば、10個の波が観測された場合、高い方から順に3個の波)の波を選んで波の高さを平均したものです。

「津波」「高潮」「高波」「波浪」の特徴

高潮や高波(波浪)は主に海面付近の海水が押し寄せる災害であるのに対し、津波は海底から海面までのすべての海水が押し寄せる災害です。そのため、津波は高潮や高波(波浪)に比べると桁違いにエネルギーが大きい特徴があります。

たとえば、津波3mと高波3mの場合、高波の場合は3mの波が瞬間的に発生するだけですが、津波の場合は3mの海水が数km以上~数十kmの海の壁となって押し寄せてきます。長時間にわたって力が加わる津波は、やがて陸上のものを破壊しながら内陸に進みます。東日本大震災時には岩手県に源流がある北上川において、津波は河口から50km以上もさかのぼっていたことがわかっています。

そのため、予想される波の高さが同じ場合は、エネルギーの違いから高波よりも津波の方が被害は大きくなります。

「津波」「高潮」「高波」から身を守る方法

津波や高潮、高波から身を守るためには、正しい知識を身につけ災害発生時には迅速で正しい避難行動が重要です。詳しく解説していきます。

事前にリスクのある場所か調べておく

津波や高潮、高波から身を守るためには、住んでいる地域や学校、職場に災害リスクがあるか調べておきましょう。

災害リスクの有無はハザードマップで調べられます。自治体が発行しているハザードマップを確認するか、国土交通省の「重ねるハザードマップ」で確認しましょう。

また、海から離れていれば安全とは限りません。津波や高潮、高波が発生すると海水が河川を逆流し海から離れた地域でも浸水する可能性があります。沿岸から比較的近いエリアや周囲に河川がある場合もハザードマップを確認しておきましょう。

避難すべき場所についても確認しておく

津波や高潮、高波のリスクがある場合は、避難すべき場所についても確認しておきましょう。避難場所を調べる方法は自治体が発行しているハザードマップや避難所情報、または国土地理院の「指定緊急避難場所」があります。

避難所までの避難経路を確認し、避難経路にも危険な場所がないかハザードマップで調べておきましょう。また、災害発生時に家族の身を案じて逃げ遅れないためにも、家族とも避難経路や避難場所などの情報を共有することが大切です。

災害発生時には警報を確認する

災害発生時には警報の種別も確認しましょう。
気象警報には「高潮警報」「波浪警報」「高潮特別警報」「波浪特別警報」の4種類があります。

「高潮警報」と「高潮特別警報」については避難指示を発令する目安の警戒レベル4に対応しているため、ハザードマップで高潮による被害が予想されているエリアの場合は安全を確保しながら避難しましょう。

「波浪警報」や「波浪特別警報」が発令されている場合は、海に近づかないようにしましょう。

津波に関する警報は、津波警報と大津波警報があります。どちらも発表されたら直ちに高台や津波避難ビルなど安全な場所に避難します。

災害発生時には警報を確認して適切な行動を取り、警報が発表されていなくても身に危険を感じる場合は早めに避難しましょう。

まとめ

前述のとおり「高潮」「津波」「高波」はそれぞれ発生原因が異なります。それぞれの現象の特徴やリスクを知り、自宅や学校、職場が災害リスクのあるエリアか事前にハザードマップで把握しておきましょう。

また、災害発生時はどこにどのように避難するかについて家族と話し合い、災害に備えることが大切です。

〈執筆者プロフィル〉
田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

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