頭部の「閃き」とともにニュータイプ能力を発露するララァ。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』より (C)創通・サンライズ

【画像】「分かり合えない人類」の中心に立つ、『THE ORIGIN』のシャア・アズナブル(7枚)

アムロ、シャアにとって「運命の女性」となるララァ

「君ともこうして わかりあえたじゃないか。人はいつか時間だって支配することができるさ」

 1979年~80年にTV放映されたSFアニメ『機動戦士ガンダム』(テレビ朝日系)の主人公アムロ・レイが、第41話「光る宇宙」でララァ・スンに向かってささやいたセリフです。

「ニュータイプ」として目覚めたアムロと、敵対するジオン軍のパイロットとして戦場で再会した少女・ララァが、ともに精神感応し、最期に交わしたセリフとして、「ガンダム」ファンは忘れることができません。

 現在、BS12の木曜深夜枠「アニメ26」では、アニメシリーズ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』が放映中です。2023年11月16日(木)の深夜26時からは、第7話「ララァとの出会い」がオンエアされます。初登場シーンからララァは人間ばなれした勘のよさを発揮し、「ニュータイプ」の片鱗ぶりを見せています。

 この機会に、「ガンダム」シリーズで描かれた「ニュータイプ」とは何だったのかを改めて振り返りたいと思います。

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敵味方関係なく「わかりあえる」能力

 富野由悠季監督が考案した「ニュータイプ」をざっくりと説明すると、優れた直感力と洞察力の持ち主ということになります。エスパー(超能力者)のような存在ですが、広大な宇宙空間の環境に適応することで生まれた新しい人類、という定義づけがされています。

 内向的な少年だったアムロは、過酷な戦場で戦い続けることで、「ニュータイプ」として覚醒し、驚異的な能力を発揮するようになります。シリーズ序盤は歯が立たなかった「宿命のライバル」シャア・アズナブルを次第に圧倒するようになり、同じ「ニュータイプ」であるララァとは通信機なしで言葉を交わすことになります。直感めいた瞬間に額に閃光が走るのが、「ニュータイプ」の特徴です。

 戦争の残酷さをリアルに描いた『機動戦士ガンダム』ですが、「ニュータイプ」同士であるアムロとララァが、敵味方に関係なく「わかりあえる」というエピソードはとても印象的でした。

 家族や同級生とのコミュニケーションにも悩みがちな思春期の少年少女たちにとって、「ニュータイプ」という言葉は非常に魅力的に感じられました。「ニュータイプ」という概念が、数あるロボットアニメのなかから『機動戦士ガンダム』を特別な作品にしているように思います。



ザビ家への復讐を冷徹に進めるシャアは、ニュータイプ能力をもつララァと出会い、彼女を寵愛することになる。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』より (C)創通・サンライズ