『機動戦士ガンダムF91』のヒロイン、セシリーは実の父親にさらわれて反地球連邦組織の女王にさせられてしまう (C)創通エージェンシー・サンライズ

【画像】「死亡フラグ」をへし折った? 『ガンダムF91』ヒロイン救出の瞬間(9枚)

劇場版より長い「完全版」をクリスマス前夜に放映

 アムロ・レイとシャア・アズナブルとの最後の戦いから30年後、一年戦争から40年以上の歳月が流れた宇宙世紀を描いたのが、劇場アニメ『機動戦士ガンダムF91』(1991年)です。『機動戦士ガンダム』(テレビ朝日系)でおなじみだったキャラクターたちは登場せず、新しいガンダムの物語として注目を集めました。

 富野由悠季監督によるオリジナルストーリーであり、メカデザインは大河原邦男氏、キャラクターデザインは安彦良和氏と、ファーストガンダムを生み出した3人の巨匠が集結したことも話題になりました。森口博子さんが歌う主題歌「ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~」もヒットしています。

 2023年12月24日(日)のBS12では、19時からの「日曜アニメ劇場」にて『機動戦士ガンダムF91』を放送。劇場公開時より、約5分長い「完全版」になります。TVシリーズ化を予定していたものの、劇場版1作のみで終わった「未完の大作」である『F91』の見どころを紹介します。

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学生たちが戦争に巻き込まれていくリアルな序盤

 宇宙世紀0123年。新興のスペースコロニー「フロンティアIV」では、主人公のシーブックたちが通う高校の学園祭が盛り上がっていました。校内でいちばんの美少女・セシリーが学園祭クイーンに選ばれた矢先、「クロスボーン・バンガード」と名乗る武装集団が襲ってきます。平和な街は、一瞬にして戦場へと変わるのでした。

 モビルスーツによる市街戦が、臨場感たっぷりに描かれています。シーブックの同級生たちは、次々と戦火の犠牲になっていきます。容赦のないリアルな戦争描写は、富野監督ならでは。序盤から、いっきに『F91』の世界に引き込んでいきます。

 鉄仮面を被った男、カロッゾ・ロナが率いる「クロスボーン・バンガード」は地球連邦政府に造反し、新しい国家「コスモ・バビロニア」の建国を宣言。シーブックたちはこの戦いに巻き込まれてしまいます。実はセシリーはカロッゾの娘であり、「クロスボーン・バンガード」に連れ去られるはめに。シーブックとセシリーは敵味方に分かれ、戦場で再会するという悲劇が待っています。

 もともとはTVシリーズとして企画されていた物語のため、劇場版だけでは消化できなかったキャラクターや説明不足のシーンが目立つのも『F91』の特徴です。富野作品に慣れ親しんできたファンは、未完に終わった部分を脳内補完しながら視聴するのも『F91』の楽しみ方かもしれません。



セシリーの父、カロッゾ・ロナは、仮面を被って自らの肉体と精神を強化し、地球連邦に反旗を翻す (C)創通エージェンシー・サンライズ