『ガラスの仮面』第49巻(白泉社)

【画像】絵柄変わりすぎ? 長寿マンガの1巻と最新巻を比較(10枚)

40年以上完結を待っている読者も……

 連載開始から四半世紀が過ぎた『ONE PIECE』が最終章に突入したり、2024年に連載30周年を迎える『名探偵コナン』で黒の組織のボスの正体が明らかになったり(2018年発行の95巻にて)と、長期連載されている人気マンガにも、「終わり」が見えてきた作品が増えてきました。

 しかし、逆に「休載が多い」「終わりそうな雰囲気がない」などの理由で、ストーリーマンガなのに読者から「未完で終わるのでは?」と、不安に思われている作品もあります。

『HUNTER×HUNTER』

 休載が多い作品と言って真っ先に思い浮かぶのは、連載が再開されるたびにネットニュースになる『HUNTER×HUNTER』(著:冨樫義博)ではないでしょうか。1998年から連載されている同作は、現在も不定期ですが連載は続いており、他行本は37巻まで出版されています。

 練られた設定を元にしたストーリー展開も評価が高い同作ですが、現在連載されている「王位継承編」では、登場人物の多さ、状況の複雑さと不定期連載で間隔が空きがちなこともあって、「ややこしくて訳が分からない」「過去イチで難しい」という意見も挙がっています。そしてなにより、この「王位継承編」は、「暗黒大陸」に向かう道中の船のなかでの話であり、「このペースだと『暗黒大陸編』はいつになるの?」と、不安の声も出ていました。

 一時はその休載の多さから、SNS上で「冨樫働け」などの言葉が多く見られましたが、
冨樫先生が椅子に座れないほどの重度の腰痛であることが伝えられてからは、「無理せず執筆して」「冨樫休め」など、健康状態を気遣う声が増えています。2022年12月に「今後は週刊連載ではない掲載形態」になることが発表されており、読者は気長に続きを待っている状態です。

『刃牙』シリーズ

 1991年から連載されている格闘マンガ『刃牙』シリーズ(著:板垣恵介)は、『グラップラー刃牙』から始まり、『バキ』『範馬刃牙』『刃牙道』『バキ道』と続いて、現在も人気です。また、Netflixで配信されているアニメシリーズ(配信後にTV放送もされた)も好調で、アニメ経由で『刃牙』シリーズを知ったという声も増えています。3部『範馬刃牙』のアニメ2期は、2023年7月よりNetflixで全話一挙独占配信されることが発表されました。

 そんな『刃牙』シリーズは、主人公・範馬刃牙が「地上最強の生物」である父・範馬勇次郎を超えることを目標に、強さを追い求める物語です。しかし、2012年に第3部『範馬刃牙』の「地上最強の親子喧嘩」で、ふたりの因縁の「決着」が描かれてからも物語は続いています。第4部以降はクローンと降霊術で蘇った剣豪・宮本武蔵や、「角力の始祖」の系譜を継ぐ2代目・野見宿禰など、「ゲスト」的なキャラと刃牙や勇次郎、その他地下闘技場戦士たちの戦いが描かれてきました。

 第4部以降に関しては、「刃牙本人の目標が見えない」「親子喧嘩で終わっておくべきだった」「勇次郎も絶対に負けないままだし、どうなったら終われるのか」などの意見もあります。もちろん、本部以蔵やジャック・ハンマーなど、サブキャラにスポットライトが当たる展開を喜ぶ読者もいますが、ストーリーマンガとしては完結しており、現在のシリーズは「外伝」と考えている読者も多いようです。連載の最新展開を見る限りでは「第6部」がもうすぐ始まりそうですが、どんな物語が描かれるのでしょうか。

『ガラスの仮面』

 1976年に連載を開始した人気マンガ『ガラスの仮面』(著:美内すずえ)は、ドラマ、アニメ、舞台など、様々なメディアで展開されており、内容は知らずとも、名前は聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか。舞台演劇をテーマにした同作では、かつて一世を風靡した作中劇「紅天女」の主演の後継者を巡り、北島マヤと姫川亜弓という才能あるふたりの女優が競い合う物語が展開されてきました。

 しかし、『ガラスの仮面』は2012年に第49巻が発売されて以降は、続刊が出ていません。「紅天女」や後継者争いの結末が描かれないまま、40年以上が経過し、長年のファンからは「お願いだから死ぬ前に終わらせて」と、切実な声が挙がっていました。さらに、2018年に掲載誌「別冊花とゆめ」が休刊となった際にも、『ガラスの仮面』の今後が心配されましたが、公式ツイッターで「必ず最終巻まで描き続けます」と美内先生のコメントが発表されています。

 そして、長い間動きのなかった同作ですが、美内先生が原作・脚本・監修をつとめ、2020年に上演された『スーパーオペラ「ガラスの仮面」より 歌劇「紅天女」』で、「紅天女」の全貌が明らかにされました。そして、その制作記者発表会の場で、美内先生が「これでマンガの執筆の方もやりやすくなった」「(50巻の執筆も)やってはいます」と述べており、原作の連載再開にも期待できそうです。