鳥山明の名作『ドラゴンボール』を代表するキャラクターといえば、亀仙人である。武天老師と呼ばれた武術の達人であり、孫悟空とクリリン、ヤムチャなどの師匠にあたる存在である。さらにいえば、悟空の育て親である“じっちゃん”こと孫悟飯の師匠でもある。
(参考:【写真】目立つこと間違いなし! ドラゴンボールZのアンダーウエア)
そんな武術の達人であり、ブルマにセクハラ行為をたびたびやらかすなど無類のスケベキャラでもある亀仙人。残念ながら『ドラゴンボール』の後半では戦闘力のインフレが進み、ただのスケベなじいさんになってしまうのだが、愛されてやまない魅力的なキャラであるのは間違いない。
そんな亀仙人の原型となったキャラクターが、鳥山の漫画にいることをご存じだろうか。
それは『Dr.スランプ』に出てくる神様である。実はこの神様、地球の文明を食べつくさせるためにガッちゃんを地球に送りこんだ人物であり、作中においても非常に重要な存在なのだ。その一方で、「東京ガスでがす」とダジャレを言う点などは、いかにも鳥山のキャラクターらしい。ダジャレ好きは『ドラゴンボール』の界王さまなど、鳥山キャラの設定でおなじみである。
この神様、登場したのは連載の後半で、エピソードは単行本の17巻に収録されているのでぜひ読んでいただきたい。
鳥山明はこのおじいさんの造形を気に入っていたらしく、額の星マークをとり、グラサンをかけさせ、亀の甲羅を背負わせて亀仙人として活用した。亀仙人が天下一武道会にジャッキー・チュンとして出場した際は、グラサンをとっているが、まさに見た目は瓜二つである。また、神様と亀仙人はともに宮内幸平が声を担当している(亀仙人は途中増岡弘に交代)。
2人のキャラクターが似ているのではないかと初めて指摘があったのは、『ドラゴンボール』の巻末にある読者コーナーである。ここで読者から指摘を受け、鳥山自身が種明かしをしたのだ。
それにしても、鳥山は今では漫画界のレジェンドとして崇高な存在であるが、かつては『Dr.スランプ』や『ドラゴンボール』の巻末に読者投稿コーナーを設け、読者と積極的な交流を図っていた。
こんなことを鳥山先生に聞くのか、と言いたくなるくらい失礼な質問にも、鳥山はギャグを交えて回答していた。鳥山のファンサービスの良さを感じずにはいられないし、そういった魅力もまたレジェンドたるゆえんなのかもしれない。
文=元城健