『復刻版 疾風伝説 特攻の拓』1巻(講談社)

【必見!】高橋一生版「だが断る」&漫才版「オレでなきゃ見逃しちゃうね」

名も無きキャラが放った一言も話題に!?

 マンガのキャラクターたちが生み出す数々の名言は、ファンなら一度は使ってみたくなるものです。また、たとえ作品のファンでなくても、どこかで聞いた有名ゼリフを、元ネタを知らないまま使っていたこともあるでしょう。

 ワードセンスが独特で、読んでなくても忘れがたい、聞き覚えのあるセリフの出所を振り返ります。

 まず、「オレでなきゃ見逃しちゃうね」と、ちょっとカッコつけたい時に使いやすいセリフを残したキャラがいました。ネット上でもはや、ミームと化しているこのセリフの元ネタは、大人気マンガ『HUNTER×HUNTER』です。上記のセリフを残した男は名前も明かされていないキャラのため、ネット上では「団長の手刀を見逃さなかった人」と呼ばれています。

 最強の盗賊団・幻影旅団と戦うために、マフィアに雇われた殺し屋である「団長の手刀を見逃さなかった人」は、防犯カメラに映った幻影旅団団長・クロロが放った凄まじいスピードの手刀を見抜きます。彼は、ここで「恐ろしく速い手刀 オレでなきゃ見逃しちゃうね」と心中でポツリとつぶやきました。その後、「団長の手刀を見逃さなかった人」はクロロに1対1の勝負を挑みますが、戦闘シーンも描かれないまま、恐ろしく速いスピードで敗れて退場してしまいます。

 ネット上では「猫の恐ろしく速い舌ペロ。オレでなきゃ見逃しちゃうね」「サラダコーナーに隠してあったスイーツ。オレでなきゃ見逃しちゃうね」など、「見逃さなかった人」のセリフをオマージュした使い方が一般的。

 さらに、2022年12月18日には「M-1グランプリ」決勝という大舞台で、真空ジェシカのガクさんがツッコミのなかで「オレでなきゃ見逃しちゃうね」と発言し、ネットは大賑わいとなりました。「漫才でこのフレーズが出てくるだけで笑う」「審査員は世代的に元ネタ分からない人の方が多いだろうに、よくぶち込んだな」と、話題になっています。

 有名なセリフが多数存在する『ジョジョの奇妙な冒険』のなかで、特に短くていろんな場面で使いやすいのが、「だが断る」という言葉です。このセリフを残したのは、第4部に登場する天才漫画家・岸辺露伴でした。露伴は人間から養分を吸い取るスタンド「ハイウェイ・スター」に囚われてしまい、主人公・東方仗助を差し出すことを条件に命を助けると提案されます。

 仗助と直前までいがみ合っていた露伴は、一度は「助けてくれるのか?」と提案を受ける素振りを見せるものの、続くセリフは「だが断る」でした。「この岸辺露伴が最も好きな事のひとつは 自分で強いと思ってるやつに『NO』と断ってやる事だ」と、露伴のプライドを貫く姿勢から生まれた名ゼリフです。

 長年愛されるこの名言はSNSでも、「金貸してと言われた。だが断る」「流行に寄せれば作品を見てもらえる…自分の描きたいものよりも優先して……だが断る!」という風に使う人が多数。Twitterのニュース報道などのリプライで、そのまま露伴のセリフのコマを貼っている人も見かけます。

 岸辺露伴はスピンオフマンガ『岸辺露伴は動かない』も人気で、高橋一生さん主演で実写ドラマ化された際は、第1話「富豪村」にて、露伴が「だが断る」と発言しました。こちらは原作からアレンジされた使い方で、『ジョジョ』ファン歓喜の名場面になっています。

 今もなおファンの多い不良マンガ『疾風伝説 特攻の拓』にも、長年輝き続ける名ゼリフがありました。四半世紀を超えて引用されているのは、「不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまったんだよ」という言葉で、発言したのは「音速の四天王」のひとり・鰐淵春樹です。

 鰐淵は車を運転していたところを暴走族に追われるも、華麗なドリフトで振り払います。道をふさぐ形になった鰐淵の車を避けようと暴走族が反対車線に飛び出し、さらに対向車線のトラックも巻き込んで大きな事故に。

 結果的に、暴走族を避けたトラックはそのまま、作中最凶キャラと名高い一条武丸を跳ね飛ばすに至るのですが、鰐淵の車は暴走族のバイクにもトラックにも触れていません。そこで飛び出したのが「『事故』る奴は……不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまったんだよ……」でした。クールな鰐淵の言い回しはとても詩的です。

 このセリフはその語感の良さから大人気で、「お熱出す奴はハードラックとダンスっちまったんだよ」「お掃除ロボットが階段から落ちた……。ハードラックとダンスっちまったようだな」と、「不運」とは言い切れない時にも引用され、楽しまれています。