映画『ビリーバーズ』副議長のキャラクタービジュアル (C)山本直樹・小学館/「ビリーバーズ」製作委員会

「え?ここまで?」「ポスターがもう気まずい」 これが女優が体を張った実写映画です(6枚)

文字通りの「体当たり演技」に挑んだ女優たち

 過激な青年向けマンガの実写化作品では、人気女優による文字通りの「体当たり演技」で驚くほど忠実に再現されていることも珍しくありません。今回は、R15+指定に分類され、衝撃シーンが話題になった作品を振り返ります。

『TOKYO TRIBE』清野菜名

 井上三太先生の代表作『TOKYO TRIBE』の実写映画は、近未来の「トーキョー」を舞台に、暴力で街を支配する個性豊かなキャラクターたちの過激な日常が原作の持つ雰囲気を失うことなく再現されていました。

 今作では過激な暴力、ラブシーンがラップミュージカルで描かれており、キャストによるラップも見どころのひとつとなっています。そのなかには鈴木亮平さん演じるブクロのリーダー、メラがラップを披露しながら清野菜名さん演じるスンミの下着をナイフで切り裂き、そのままナイフをへそ下まで滑らせる……という一幕がありました。

 一歩間違えれば死んでしまうようなスリルを味わって、お互いの息遣いと表情に興奮の色が見え隠れするという衝撃的なシーンで、清野さんは初めてフルヌードに挑んでいます。直前まで派手なアクションを披露したかと思えば、ヌードにも挑戦する清野さんに「両方の意味で身体張ってる」と衝撃を受けた観客も多かったようです。

『ビリーバーズ』北村優衣

 新興宗教を題材にした山本直樹先生の代表作『ビリーバーズ』は、男女3人が住む孤島の極限状態のなかで人間の欲望と本能が暴かれていく衝撃作です。1999年に描かれた同作の実写化が20年以上の時を経て発表された際は、「さすがに無理じゃない?」と懸念を抱く原作ファンも続出していました。

 物語は、架空の宗教団体「ニコニコ人生センター」に所属する青年の「オペレーター」(演:磯村勇斗)、中年男性の「議長」(演:宇野祥平)、若い女性の「副議長」(演:北村優衣)の3人がとある、無人島で共同生活を送りながら、さまざまな指令を実行するところから始まります。

 当初は3人で穏やかな日常を過ごすも、島にやってきた侵入者が副議長を襲おうとし、殺害してしまったことから歯車が狂い始めます。

 議長は教義を実行するという名目で副議長にわいせつ行為の数々を働き、ある事件によって議長が島を去った後は、オペレーターと副議長が肉体関係になっていきました。海のなかでも行為に及ぶ過激な濡れ場を、磯村勇斗さんと北村さんが体当たりで演じています。ピンク映画の現場で何年も活躍していた城定秀夫監督らしく、アクションシーンのように細かく見せ方にこだわったという無人島での過激描写はかなり話題になりました。

 後半は「ニコニコ人生センター」が現実社会で問題を起こし、島でさらなる衝撃展開が待ち受けます。脚本に惚れこんでオーディションを受け、実は過去に夫にDVを受けていた複雑な役の副議長役の北村さんの演技には称賛が集まりました。

『ばるぼら』二階堂ふみ

 2020年11月20日に公開された映画『ばるぼら』は、手塚治虫先生による禁断の愛やスキャンダル、狂気を描いた過激な同名マンガを原作とする実写化作品です。そんな異色作の実写映画を、手塚治虫先生の長男である手塚眞さんが監督したことも大きな注目を集めました。

 本作は主人公である異常性欲に悩まされる売れっ子耽美派小説家の美倉洋介(演:稲垣吾郎)が、偶然新宿駅で出会った謎の少女ばるぼら(演:二階堂ふみ)の魅力にのめり込んで堕落していく……というストーリーです。

 二階堂さんは2020年11月27日まで放送されたNHKの朝の連続テレビ小説『エール』でヒロインの音役を演じており、まだ朝の顔としてのイメージが強い最中に公開された『ばるぼら』を観た観客からは、「朝ドラ女優の最終回の日にヌードの映画観るとは」「朝ドラみたいなメジャー作品もやるし、映画では体を張って…今の時代、稀有な女優だなと改めて思わされる」「朝ドラのヒロインを演じていて今年の紅白の司会でもある二階堂さんがこんなに攻めた役柄を演じるとは」と、驚きの声があがっていました。

「都会が何千万という人間を飲み込んで消化し、たれ流した排泄物のような女」という美倉の表現にあるように、ばるぼらはアルコール中毒でだらしのない女でした。しかし、ばるぼらが側にいるときのみ創作へのインスピレーションが得られるため、美倉は徐々にばるぼらに執着を見せるようになります。

 作中では美倉とばるぼらがバスタブやベッドで濃厚な絡みを見せるシーンなど、過激な描写が原作通り再現されていました。官能的で狂気すらも感じられるふたりの演技には、「逆にエロさを感じない」「耽美的でドキドキした」「芸術的濡れ場」と絶賛する声も多く出ています。

 また、実写映画は衝撃的な原作の結末以上にハードな展開を迎えており、原作を読んでいたファンは「まさかの父親越えの展開」「そうくるとは」と驚いていたようです。