アニメ『ジョジョの奇妙な冒険 戦闘潮流』ビジュアル (C)荒木飛呂彦&LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・ジョジョの奇妙な冒険THE ANIMATION PROJECT

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悪役を気取っていても根はいい人だった!?

 敵なのに、憎むどころか同情を覚える登場人物に遭遇することがあります。そして物語の結果はどうあれ、読者的には「本当はいいやつだったんだ」と思えることも。そのようなキャラクターには思わず同情したくなる悲惨な過去があったり、虐待やいじめなど酷い目にあっていたりします。そんな憎みきれない事情を持っているキャラを、独自の目線で追ってみました。

 まずは『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する、柱の男のひとりワムウです。古くから人類に鬼や悪魔、あるいは神と恐れられてきた柱の男たちのなかでも「戦闘の天才」といわれるワムウ。他の残虐な柱の男たちとは違って武人のような性格で、勝敗よりも戦士の美学を優先するスタイルを貫きます。その誇りに生きる武士のような生き様から、同シリーズ屈指の人気を誇るキャラクターのひとりです。

 ワムウはジョセフをライバルと認めており、命がけで挑んでくる敵には敬意を表するなど、敵にしておくのがもったいないぐらい気持ちのいい男です。ジョセフとの戦いでは死の間際、ジョセフからの敬意を感じ取ったワムウ。お互いが相手を誇り高い戦士と認め合った末、ジョセフは戦いの決着として敬礼を持ってワムウの死を見届けました。敵であるジョセフすら敬意を払いたくなるなんて、憎むどころかカッコよ過ぎて惚れるレベルです。

 続いては『ワンパンマン』に登場する、自らを怪人と自称するヒーロー狩りのガロウ。天才的な戦闘センスでS級ヒーローをもねじ伏せる実力者です。

 そんな彼がなぜ怪人を自称するのかというと、幼少期のいじめが原因でした。子供のころ大人しい少年だったガロウは、クラスの人気者だった友達からヒーローごっこの怪人役を押し付けられるといういじめを受けます。それが原因で「悪はヒーローに必ず倒される」という構造自体に怒りを抱くようになったのです。

 そうしてガロウは「多数派で人気があるヒーロー」は偽善者で、正義を盾に「少数派で弱者の怪人」に暴力を振るっていると考えるようになります。ヒーローから過去の自分のような弱者を救うため、ヒーロー狩りを始めたガロウ。

 しかしヒーローに向ける残忍な顔とは裏腹に、自分の命に代えて子供を守り抜いたシーンがありました。ガロウなりの正義がひしひしと伝わり、悪役を気取っていても根はいい人なんだと思えてなりません。



TVアニメ『チェンソーマン』ビジュアル (C)藤本タツキ/集英社・MAPPA

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主人公が惚れちゃうのも納得?

※以下、『チェンソーマン』未アニメ化の内容が含まれています。閲覧にはご注意ください。

 続いては『呪術廻戦』に登場する夏油傑です。過去に呪術高専の同級生だった五条悟とは親友の間柄で、当時は「呪術は弱者(非術師)を守るためにある」と五条にも諭すほど高い志を持っていました。しかし、その後、「人間を抹殺し、呪霊が人間に取って代わる世界を作る」という目的のため、五条の排除を企むポジションに。映画『呪術廻戦0』ではついに追い詰められ、最期は親友・五条に命を奪われるのでした。

 夏油の最期を見届けた五条は、今でも夏油のことを「僕の親友だよ」と語っています。数々の悪行を起こしても敵なのに親友と思われる夏油傑は、いい人だと思えた瞬間でした。

 最後のキャラは『チェンソーマン』に登場するレゼです。公安対魔特異4課に所属するデンジが出会った謎の女レゼ。彼女は公安の近くでバイトをするデンジとたまたま出会い、瞬く間に意気投合します。ある日ふたりで花火を見ていたところ、レゼから一緒に逃げてほしいという告白が。戸惑うデンジへ不意に口づけしたレゼでしたが、次の瞬間デンジの舌をかみ切り、鮮やかな手つきで手首まで切り落とします。

 レゼの正体は子供のころから一切の自由なく育てられた、ソ連のスパイでした。レゼはデンジに、これまでのことは全て演技だったと告げます。諦めきれないデンジはなんとか危機を脱しますが、去り行くレゼへ一緒に逃げようと呼びかけてカフェで彼女を待つことに。

 その後改心したレゼはスパイをやめようと決意してカフェへ向かうも、待ち構えていた公安のマキマに殺されてしまいます。刺客として使命を全うしようとしながらも、最後は自分の心に従ってデンジのもとへ向かおうとしたレゼ。裏切った憎しみより、デンジと幸せになって欲しかった気持ちが上回るキャラクターです。

 少しも憎めないキャラとは、悪役として登場するものの根はいいやつだったり、同情を引くような過去を持っていたりします。事情を知ってしまえば、憎むどころかむしろ応援したくなるキャラばかりですね。