サザエさん一家とともにタマが描かれたアニメ『サザエさん』ビジュアル (C)長谷川町子美術館

【画像】ペットにしたい! 国民的アニメの動物キャラ(3枚)

「ワン!」だけでも「変わって欲しくない」ベテラン声優の演技力

 国民的アニメである『クレヨンしんちゃん』『それいけ!アンパンマン』『サザエさん』。この3作のなかで、忘れてはならない存在となっているのが、「シロ」「チーズ」「タマ」の3匹。長年愛され続けているキャラクターたちですが、その声優は一体誰が務めているのか、ご紹介します。

『クレヨンしんちゃん』 シロの声優は風間くんと一緒!

 まずは、『クレヨンしんちゃん』に登場する、野原一家の愛犬「シロ」。この声優を務めているのは真柴摩利さんという方で、実は、風間くんと同じ声優さんです。

 インタビュー記事によると、アニメ開始時、真柴さんはオーディションで風間くん役として抜擢。シロはアニメ初登場のとき、本番でいきなり「真柴さん、ちょっと鳴いてくれませんか?」と言われて、そのままシロ役に抜擢されたといいます。

 実はシロ役を務める以前、真柴さんは『ドラえもん』で犬や猫、ひみつ道具の声を担当していました。真柴さんの推測ですが、『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』で共通して音響監督をしていた大熊昭さんが、その流れもあってシロ役に選んだのではないかということです。

 真柴さんはシロの魅力について、「絶対にしんちゃんを嫌いにならないところですね。野原家の良心というか(笑)」と語っています。考えてみれば、シロは動物でありながら人間らしい表現も多いキャラクター。基本的に「ワンワン」しか言わないのにもかかわらず、ここまで掛け合いが面白くなっているのは、声優さんの力があってこそです。

『それいけ!アンパンマン』めいけんチーズの声優は?

「めいけんチーズ」の声を務めるのは、七色の声を持つ声優・山寺宏一さん。タレントとしてTV出演した際も、たびたびチーズの鳴き声を披露していることから、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

 なお、山寺さんは『アンパンマン』で「めいけんチーズ」「カバお」「かまめしどん」のほか、増岡弘さんから引き継いだ「ジャムおじさん」、上田敏也さんから引き継いだ「ねむねむおじさん」など、すさまじい数のキャラクターを演じています。

 そんな山寺さんですが、もともとはばいきんまん役のオーディションを受けて不合格となり、チーズ役を担当することになったという経緯があるのです。ラジオで20代だった当時を振り返った山寺さんは、「新人に毛が生えたような時で」「まだ、鰻屋さんのバイトを辞めていなかったかもしれませんね」と状況を語っています。

 しかしそこから、持ち前の演技力で人気者に。カバおも当初はエキストラのような立ち位置でしたが、演技によって存在感が増し、メインキャラクターに昇格を果たしました。独特な「おぼっちゃま風のしゃべり方」も、山寺さんのアイデアによるものだといいます。

 チーズの声は、視聴者からするともはや当たり前になっていますが、「アンアン!」しか言わない役で「変わってほしくない」と思う魅力を感じさせるのは、山寺さんの素晴らしい演技力があってこそでしょう。

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さまざまな憶測が飛び交う「タマの鳴き声」

『サザエさん』タマの声はトップシークレット

 磯野家の一員にして、日本一有名な猫と言っても過言ではない「タマ」。しかし、アニメ放送のエンディングを見ると、実はタマの声優はクレジットされていません。そして、フジTVの番組紹介ページを見てみても、タマの声の出演欄は「?」となっているのです。

 こういった事情から、インターネット上では、「猫の鳴き声が録音されたものを使っているらしい」「出演者が入れ替わりで声を当てているのでは」といった憶測が飛び交っています。“合成音声説”を唱える人もいますが、放送開始が1969年ということを考えると、これほど昔から合成音声がアニメ番組で使われていたのか疑問を訴える人もいるようです。

 タマの声に関する情報のひとつとして、1970年10月18日放送「ぼくらの心はキズついた」では、タマが喋るシーンが放送されました。現在も「FOD」にて配信されているため、確認してみると…冒頭から、波平によってふすまに尻尾を挟まれたタマが、普段とは異なるうなり声を上げています。そしてオチとなるラストシーンでは、タマが「やったやったー!やったぜー!」と波平をあざ笑うかのようなセリフを発するのです。

 ニュアンスとしては、普段の鳴き声の延長といった感じではなく、別の方が声を当てているような印象を受けました。しかしこの回でも、エンディングにタマのクレジットはされておらず、真相は闇の中です。

 また、2013年に発売されたCD「サザエさん音楽大全」では、「タラちゃんの足音」などとともに、「タマの鳴き声1(ノーマル)」「タマの鳴き声2 (どうして?)」「タマの鳴き声3 (甘え声)」「タマの鳴き声4 (戸外から「開けてよー」)」が収録されています。バリエーションごとに収録されているということは、SEのように使いまわされているのでしょうか…?

 いずれにせよ、数十年に渡って変わらぬ声で鳴き続けているというのは、興味深い事実です。