『ドラクエIII』のオルテガは「ザオリク」で生き返らないの?(画像は同作のAndroidアプリ版)  (C)1988, 2014 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved

【意外!】HPが「ゼロ」でもキャラが死なないゲーム(7枚)

HPが0に! さて、そのキャラはどうなった?

 RPGでキャラクターの体力や生命力を表す数値となるHP(ヒットポイント)。ここまでは多くのRPGにおける不文律、常識のようなものですが、それが0になったときにキャラがどういう状態になるのかは作品によってさまざまです。作品ごとに微妙に異なる設定や、そうしたシステムが生み出してしまったハプニングなどを紹介します。

「HP0=死」である『ドラクエ』の世界

 まずは国民的RPGと言える『ドラゴンクエスト』から見ていきましょう。多くの方がご存じだと思いますが、本シリーズにおいては基本的に「HP0=死」となります。シリーズ最新作である『ドラゴンクエストXI』においても、ゲーム中で確認できるザオラルやザオリクの説明文は「仲間ひとりを生き返らせる」と明記されています。

 しかし「ストーリーの流れで死んでしまった人もこの呪文で生き返らせられるのでは?」とつい思ってしまうのも事実。『ドラクエIII』では勇者の父・オルテガにザオリクをかけてあげたいと思ったものです。

 この手のツッコミは「野暮」だと言ってしまえばそれまでですが、実は近年のシリーズ作では、そこに矛盾を感じさせない描写がさりげなく盛り込まれたりしています。

 ストーリーのネタバレになるため具体的なキャラクター名は伏せますが、2022年でサービス10周年をむかえたMMORPG『ドラクエX』では、ストーリー中で「魂すら滅びた者は呪文ではもう蘇生できない」という描写があり、『ドラクエXI』では命を落としたとある人物の体が光となって消えていく描写が見られました。

「HP0」の定義がシリーズの途中で変わった『FF』

『ドラクエ』と並ぶ日本製RPG『ファイナルファンタジー』シリーズでは、3作目となる『FFIII』までは「HP0=死」でしたが、『FFIV』から「HP0=戦闘不能≠死亡」となりました。

 ここでちょっと昔話ですが、『FF』シリーズはスーパーファミコンで『VI』がリリースされるあたりまでは「奇数のナンバリングはシステム重視、偶数はストーリー重視」と言われることがありました。

 そして「戦闘不能」が採用された『FFIV』は、まさにストーリー重視といっても差し支えないほどドラマチックなストーリーに重きが置かれた作品です。ボス戦の終了後に主人公のセシルを含む仲間たちの会話が発生する頻度が『III』以前とは段違いでした。

 ところが、ボス戦で「死亡」したキャラが会話に参加していたら「さっきまで死んでいたのに!?」とこれまた野暮なツッコミができてしまいます。おそらく、そうした印象を避けるための措置なのでしょう。



『ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡』 (C)2005 Nintendo / INTELLIGENT SYSTEMS

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「HP0=死」の設定から続編バレ…

 次は2019年にNintendo Switchで発売された『ファイアーエムブレム(以下『FE』) 風花雪月』が世界的な大ヒットとなった『FE』シリーズを見てみましょう。本シリーズは長らく「歯ごたえのあるシミュレーションRPG」であることをウリにしており、シリーズ初期の作品は当然のように「HP0=死」でした。

 しかし、その難度の高さがハードルの高さにもなってしまったので、ニンテンドーDS『ファイアーエムブレム 新・紋章の謎 ~光と影の英雄~』以降の作品では新たに「カジュアルモード」が登場しました。ゲーム開始時にこのモードを選ぶと「HP0=死」ではなく「HP0=その戦場から離脱しなければならないほど(そして治療すれば完治する程度の)の負傷」になるため、キャラを失う(死なせる)ことなくゲームを楽しめます。

『FE』シリーズでは、こうした概念にともなうユニークなこぼれ話があります。上記『新・紋章の謎』の5年前にニンテンドーゲームキューブで発売された『ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡』において、仲間になる盗賊の少年サザが「HP0になっても死なず、主人公の軍から永久離脱するだけ」という特別な存在だったのです。

 勘の鋭いプレイヤーはそれを見て「サザは次回作の重要キャラかもしれない」と予測を立てていましたが、これが大当たり! 彼は2年後に発売された続編『ファイアーエムブレム 暁の女神』における主人公のひとりでした。「HP0の定義で続編の構想が分かってしまった」のはこのシリーズくらいかもしれません。

「HP0=死」に限定的な例外が!『タクティクスオウガ』

 最後は、2022年11月11日(金)にリメイク作品が発売されるSFCの名作シミュレーションRPG『タクティクスオウガ』での定義を紹介します。

 本作においてもHP0は死を意味しますが、キャラが戦死したマップをクリアする前に神聖魔法「リザレクション」を使用すれば蘇生させられます。しかし、キャラを死なせたままそのマップをクリアしてしまうと蘇生は不可能になるので「死んだ直後であれば魂を呼び戻せる」というような設定なのでしょう。

 ところで、本作には「エンジェルナイト」という女性キャラ限定の隠しクラスが存在し、そのクラスに就く条件は「アライメントがLで、ステータスが一定値以上の女性キャラが死亡した際にLuk(運)の数値と同じ確率で転生する」というものでした。

 上記すべての条件を満たすと死んだ瞬間にその場でエンジェルナイトとして転生を果たすので、その場合は蘇生もへったくれもありません。筆者は本作のSFC版を遊んでいた当時、このことを知りませんでしたのでエンジェルナイト誕生を目の当たりにして「あ、やられた…と思ったら、あれー!?」と驚くことしきりでした。

 ほかにも、筆者の知っている範囲では「HP0=気絶=戦闘終了後にHP1で復活」などというゲームもありました。「HP0」とはどういう状態なのか? そんな想像をふくらませながら遊ぶのも楽しいかもしれませんね。