剣心がずっと流浪人だったら…?画像は『劇場版るろうに剣心 維新志士への鎮魂歌』 Blu-ray(アニプレックス)

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要人暗殺起きまくり?

 1994年より「週刊少年ジャンプ」で連載開始され、現在も続編の『北海道編』が好評の『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』は、幕末最強の剣豪「人斬り抜刀斎」だった剣心が、不殺の誓いを立てて「流浪人(るろうに)」となって、弱き者たちを助けるという物語です。

 ただ、「るろうに」とは言いつつも、物語が始まって早々、剣心は東京の神谷活心流道場の居候となります。しかし、もし、剣心がマンガのタイトル通り「流浪人(るろうに)」を続けていたら、どうなっていたのでしょうか。

 もし、剣心が神谷活心流道場に立ち寄らなかったら、神谷薫は道場を奪われ、神谷活心流は潰れていたでしょう。当然、明神弥彦や相楽左之助と出会うこともありません。薫は出稽古先にやっかいとなり、弥彦はスリ、左之助は喧嘩屋を続けていたでしょう。

 武田観柳とも接点はないと思われますが、剣心が東京の近くにいれば「人斬り抜刀斎を斬り、最強を証明」したい隠密御庭番衆の目につき、戦いを挑まれた可能性はあります。そうでない限り、接点はなく、高荷恵は観柳の悪事に助力していたに違いありません。

 また、斬奸状を送りつけて標的を警護させた上で、その対象を斬ることに喜びを感じる人斬り・鵜堂刃衛は野放しです。劇中では陸軍要人・谷十三郎が剣心らに護衛されたことで刃衛に斬られずに済んだのですが、剣心が流浪人のままでは警護してくれることはないので、あっさり斬られていたでしょう。

 刃衛が要人暗殺をしていたのは、明治政府の元老院議官・渋海の依頼です。渋海はこの事件の後で斎藤一を雇い、剣心の暗殺を目論みますが失敗。配下の赤末有人(あかまつ・あるんど)より「斎藤は明治政府のトップである、大久保利通内務卿の密偵」と報告を受けます。そして、渋海は斎藤を懐柔して次期内務卿の座を目論みますが、斎藤に斬られました。

 こうした流れから見て、剣心がいなければ、渋海は刃衛らを利用して要人暗殺を繰り返したでしょう。そして、事態を重く見た大久保内務卿が斎藤一を派遣して、刃衛を斬らせようとしたに違いありません。刃衛と斎藤のどちらが強いのかは議論が分かれるでしょうが、もし斎藤が負けていたら、大久保内務卿が暗殺され、渋海一派が明治政府を動かした可能性すらあります。

 そしてなんであれ、『るろうに剣心』最大の事件である志々雄真実一派による反乱は起こったはずです。劇中では、大久保内務卿は志々雄配下の瀬田宗次郎に斬られます。一連の「京都大火編」の出来事を斎藤一だけで収めるのは無理で、その場合は北海道にいる元・新撰組二番隊組長の永倉新八などを呼び出して、鎮圧しようとするでしょう。
 
 しかし、斎藤と永倉だけでは「十本刀」+志々雄真実(四乃森蒼紫はいないでしょうが)を倒すのは厳しいはずです。そして、明治政府は要人を暗殺されつつも、軍を投入して志々雄一派と戦うでしょうが、その過程で甚大な被害を被るのは間違いありません。

 剣心が流浪中で所在不明となれば、明治政府の依頼を受けて事態を収拾できるのは、剣心の師匠である比古清十郎だけです。比古は弟子の剣心を気にかけてはいますし、志々雄の「弱肉強食社会」には賛同しないでしょう。比古は「最強議論」でも全く意見が分かれないほどの圧倒的実力者ですから、斎藤、蒼紫、左之助を退け、剣心とも互角以上に戦った実力者・志々雄も倒す可能性が高いです。比古が志々雄一派を倒して、なんとか騒動は終焉するのではないでしょうか。ただ、もし剣心だけでなく、左之助も斎藤も蒼紫もいない状態で、比古が孤軍奮闘となれば、最悪の事態も……まぁ、ないとは思いますが。

 という風に、もし緋村剣心が「流浪人(るろうに)」を続けていたら、明治政府の要人は次々に暗殺され、国家も転覆寸前まで追い込まれたかもしれません。剣心がマンガのタイトル通りの「流浪人」を続けなかったのは、喜ばしいことと言えるでしょう。