著:板垣恵介『バキ外伝 創面』第2巻(秋田書店)

【画像】キスしなければ待つのは死!? マンガを見る(5枚)

致死率100%のハニートラップ

 キスシーンと言われて多くの人が思い浮かべるのは、胸が高まる甘酸っぱいシーンではないでしょうか? しかし、マンガのなかにはまったく甘くないキスシーンも存在しています。読むと驚愕してしまう、恐怖のキスシーンを紹介します。

 まず紹介したいのは『バキ外伝 創面』(著:板垣恵介)の第2巻に登場する花山薫のキスシーンです。キスされた女生徒の口周りは赤く充血し、控えめだった唇はたらこ唇に変貌してしまいます。吸引力を売りにしている掃除機なんて、もろともしないような肺活量に恐怖をおぼえます。この後、別れを告げられて「それでいい」といったことから、わざとやった行動だとうかがえます。

 花山なりに女性を精神的に傷つけず、遠回しに断る方法を考えた結果の行動だったのでしょう。花山の優しさはもちろん素敵ですが、女生徒にとってはかなりのトラウマが植え付けられたのは間違いありません。花山の不器用さには驚きますが、その不器用な優しさが女性をとりこにしていくのかもしれません。

 続いては、『BLOODY MONDAY』(原作:龍門諒、マンガ:恵広史)の第1巻に登場する、工作員・折原マヤのキスシーンです。致死率100%と言われるウイルスを自身の唇に塗り、ウイルスをもらった取引相手に「実験」を行いました。スパイ映画などでハニートラップを行われるシーンはよく見ますが、キスによってウイルスに侵されてしまうなんて、寒気がするほど恐ろしいです。折原マヤ本人は、ワクチンを接種済みではありました。しかし、手を震わせながらウイルスを塗るシーンから、かなりの恐怖と戦っていたと推測できます。お金のために命を賭けて挑む姿に感服です。

 最後に『シチハゴジュウロク』(原作:工藤哲孝、マンガ:笹古みとも)の藤宮しちはと五六冴郎(ふのぼり・ごろう)のキスシーンです。崖から落ちそうになっていたところを助けた拍子にキスしてしまったふたり。その帰り道、冴郎は何者かに押されて線路でひき殺されてしまいます。しちはとキスしたことがきっかけで、「殺意を集める体質」になってしまい、彼女の運命に巻き込まれていくのです。冴郎の「死ぬまでにやりたい100のこと」のひとつに書かれていた「キス」を達成できたのは良かったものの、それが原因で死ぬことになるなんて悲しすぎます。