もう20年以上バージョンアップを繰り返す『太鼓の達人』  (C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

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ターンテーブルからマラカスまで…? ブームと共に生まれた音ゲーたち

 DJターンテーブルを模したコントローラーに、スタイリッシュなアーケード筐体。今から25年前の1997年、ゲームセンターで稼働をスタートさせた『beatmania(ビートマニア)』は、以降のゲームセンターに新たなブームを巻き起こしました。音楽ゲーム、いわゆる「音ゲー」の流行です。

 音ゲーがゲームジャンルとして一般に認知されるまで、さまざまなタイトルがゲームセンターを賑わせてきました。しかし昨今、ゲームセンターで存在をあまり見かけなくなったゲーム筐体も少なくありません。コナミの音楽ゲームブランド「BEMANI」シリーズを中心に、ブームをけん引してきた音ゲーを紹介していきます。

「最近見なくなった音ゲー」として、まず『Dance Dance Revolution(ダンスダンスレボリューション)』(以下、ダンレボ)を思い出した方も多いのではないでしょうか。

 1998年に稼働を開始した『ダンレボ』は、コマンド入力に手ではなく「両脚」を使う斬新な遊び方を提案したゲームです。筐体の見た目だけでなく、プレイしている様子も派手であった『ダンレボ』は、当時のメディアもこぞって取り上げ、音ゲーブームを加速させるキッカケとなりました。

 その後、コマンド入力方法に変化をもたせる工夫から『GUITARFREAKS(ギターフリークス)』『drummania(ドラムマニア)』。コナミ以外ではSEGAよりマラカスを振る『サンバdeアミーゴ』など。コントローラーを楽器に置き換えた音ゲーが続々開発されることになります。

『ビートマニア』に続いて発表された『pop’n music(ポップンミュージック)』は、2020年にアーケード版の26作目が発表されるなど、いずれもまだ熱狂的なファンがいます。音ゲーそのものが飽きられてしまったわけでもありません。

 時代を追うごと、プレイできる楽曲もどんどんバリエーションを豊富にしていくのですが……上に紹介した、ほとんどが多くのゲームセンターにおいて以前ほど見かけなくなってしまいました。

 数々の音ゲーが姿を消していくなかで、ナムコが2001年に発表してから、現在でも現役で第一線をキープし続けている『太鼓の達人』の人気はどこにあるのでしょうか。



『太鼓の達人』の公式マイバチ  (C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

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大人も子供も楽曲も! シンプルだからこそ、画一的な遊び方にとどまらない

 今でもゲームセンターの目立つ場所に配置されていることの多い『太鼓の達人』。人気の理由のひとつは「シンプルさ」にあるのではないでしょうか。

 音ゲーの進化は操作やルールの複雑化をも伴い、初プレイに対する抵抗感を生み出す原因にもなり得ましたが、『太鼓の達人』は叩く場所が2か所しか存在しません。筐体の見た目だけでも大体のルールを理解することができるため、大人から子供まで楽しむことができるばかりか、「上手なプレイ」のみが歓迎されるわけでもないのです。

 プレイヤーのみならず、楽曲を選ばないポイントもシンプルだからこその強みでしょう。和太鼓の「ドン!」「カッ!」の音でリズムを刻むのであれば、最新のJ-POPからクラシック、童謡に至るまで、幅広いジャンルの楽曲をゲーム内で取り扱うことができます。

 とはいえ、良いことばかりではありません。遊び方を強要しない『太鼓の達人』は、メーカーの想定外の遊び方を許してしまう問題も生み出しました。

 スコアを伸ばすため、筐体につながれている付属の「バチ」を使わず、自作の「マイバチ」をゲームに用いるプレイヤーが多く現れ始めたのです。

「マイバチ」の使用は、筐体の損傷を早めるほか、ストラップを手首に巻かないことで周囲の人をけがさせてしまう恐れもあるため、使用の禁止が呼び掛けられている危険な遊び方です。決して推奨できるモノではありません。「マイバチ」は公式から発売されている「太鼓の達人 公式マイバチ」を使い、ガイドラインにならって安全に遊ぶべきです。

 しかしながら、プレイヤーごと、遊び方にオリジナリティを追求できる点だけを見れば……それもまた、画一的な遊び方を強要しない『太鼓の達人』ならではの魅力かもしれません。