データが消えているかどうか…毎度ヒヤヒヤするオープニング画面  (C)1995 HAL Laboratory, Inc. / Nintendo.

【動画】Switchでも遊べる!『星のカービィ スーパーデラックス』プレイ映像

「0%」「0%」「0%」データがまた消えてる…けど、はじめからやればヨシ!

 スタートボタンを押して友達と愕然、進めていたデータが全て消えている……。1996年3月21日に発売された、スーパーファミコン用ソフト『星のカービィ スーパーデラックス』(以下、スーパーデラックス)をプレイしていた方なら誰しも、画面に表示される無慈悲な「0%」「0%」「0%」に見覚えがあるはずです。

 ゲームデータの破損は悲劇以外の何ものでもありませんが、当時のプレイヤーにとって『スーパーデラックス』のデータ損傷など、数回に一度の頻度で起こるいつもの不具合。少しガッカリした後、再び最初から冒険を始める人も少なくありませんでした。

 くじけずにリプレイし続ける魅力はどこにあったのか。当時を振り返ってみると、まず、そもそも本作はデータの進捗がゲームの面白さにほとんど影響しない理由があげられそうです。

『スーパーデラックス』は全9ステージから構成されていますが、そのうちの6ステージは、はじめから解放されている状態でスタートします。

 それぞれオムニバス形式のストーリーが用意されており、ミニゲーム(サブゲーム)「刹那の見斬り」「かちわりメガトンパンチ」を含み、どのコースで遊ぶかもその時のプレイヤーの気分で選択可能だったのです。

 また、「星のカービィ」は、任天堂の発売する2Dアクションゲームのなかでも難易度が優しめに設定されているシリーズです。特に『スーパーデラックス』は万人受けのコンセプトのもとに作られています。

 隠された3ステージ「メタナイトの逆襲」「銀河にねがいを」「格闘王への道」も遊んでいるうち、意識しなくても自然に解放されていきます。

 もちろん、道中の宝物60個を全て収集する、やり込み要素が面白い「洞窟大作戦」を完全クリアした後のデータ損傷はさすがに落胆モノですが……セーブデータの有無がプレイ時の満足度を直接左右することは少なかったように考えられます。

 もっと言えば、当時の子供が『スーパーデラックス』をプレイし続けた背景には「カービィ」シリーズ”ならでは”の理由を推測することもできるでしょう。



スーファミ用ソフト『星のカービィ スーパーデラックス』(任天堂)パッケージ画像 (C)1995 HAL Laboratory, Inc. / Nintendo.

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出現確率1%以下!? 黄金の「マリオ像」と「サムス像」を見たことある?

 難易度も高くなく、仮にデータが損傷しても全てのステージを簡単に解放できてしまうことは、『スーパーデラックス』に「飽きてしまう」原因になる可能性がありました。なのに、見慣れたステージの繰り返しでも、本作を退屈にさせなかった最たる理由は、カービィの代名詞「コピー能力」の豊富さ、魅力的な技の数々にあります。

 たとえば、十字キーをガチャガチャさせたエネルギーを放出させる「プラズマ」は簡単に高火力を出せる初心者でも扱いやすい人気の能力。一方、コマンド入力にクセのいる「ジェット」やプロレス技のSEが気持ちの良い「スープレックス」はゲームに慣れた人ほど好む、トリッキーな能力です。

 きわめつけは石に変身、敵に落下してダメージを与える「ストーン」です。同じ石でも変身後の姿が複数種用意されている「ストーン」は、攻撃発動時にランダムに変身先が選ばれるのですが……。

 低確率で「マッチョ像」、1%未満の確率で黄金の「マリオ像」「サムス像」に変身するオマケの仕様があり、その姿見たさにステージ攻略そっちのけでボタンを連打しているうち日が暮れてしまう。なんてことも珍しくなかったのです。

 2プレイヤーも「ヘルパー」としてカービィと冒険できる本作では、協力し合うことはもちろん、コピー能力の取り合いになることも珍しくありませんでした。

 一緒に遊ぶ友達や、能力の分だけ遊び方も拡がる『スーパーデラックス』は、データの損傷すら些細なことに思えてしまうほどの魅力が詰まっていました。