猗窩座が煉獄杏寿郎にラブコールする映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』キービジュアル第3弾 (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

【画像】鬼に褒められた者たちが表紙を飾る『鬼滅の刃』(5枚)

実力を認めた相手はちゃんと褒める鬼たち

 スポーツや格闘技において、試合が終わったあとに選手同士が健闘をたたえ合う姿はよく見ますが、バチバチと戦っている最中に相手を褒めることは普通ないものです。それが命を懸けた殺し合いならなおさら……。

 しかし、人気マンガ『鬼滅の刃』では、まさに死闘を演じている敵同士であるにもかかわらず、鬼から認められ褒められたキャラたちがいます。

※この記事では、まだアニメ化されていないシーンの記述が含まれます。原作マンガを未読の方はご注意ください。

鬼から熱烈スカウトを受けた男・煉獄杏寿郎

 まずは炎柱・煉獄杏寿郎です。彼を褒めちぎった鬼といえば、「無限列車編」で戦った上弦の参・猗窩座(あかざ)です。猗窩座は煉獄と出会った瞬間から、もう褒めモードでした。

「お前も鬼にならないか?」と単刀直入にスカウトを開始すると、続けて「見ればわかるお前の強さ 柱だな?」「その闘気 練り上げられている 至高の領域に近い」と一気に褒めちぎります。しかし煉獄はこのスカウトを断り、バチバチの死闘が始まりました。

 ただ、猗窩座は諦めません。煉獄の本気の太刀を何本も体に受けながら、「この素晴らしい反応速度」「この素晴らしい剣技……」と実況しながらさらに褒め続けます。そして最後には「(鬼となって)俺と永遠に戦い続けよう」と、プロポーズのような言葉まで投げかけました。敵対する鬼にここまで言わせる、煉獄杏寿郎のポテンシャルの高さがわかります。

鬼に恋をさせた女・胡蝶しのぶ

 続いては、毒を使った技を得意とする蟲柱・胡蝶しのぶです。彼女を褒めちぎった鬼が上弦の弐・童磨でした。鬼たちのなかでも特に残酷な性格で、女を喰うことに異様な執着を持っているというクセの強いキャラでもあります。そんな童磨との戦いで、しのぶは決死の作戦を実行します。敗北した童磨は、この世とあの世の狭間のような場所で胡蝶しのぶと出会い、次のように投げかけました。

「今はもうない心臓が脈打つような気さえする これが恋というやつかなぁ 可愛いねしのぶちゃん」

 先ほどまで殺し合っていた相手に「恋心」まで芽生えた童磨でしたが、しのぶが憎き童磨にきっぱり言い放つセリフも痛快でした。



黒死牟の流れるような褒め台詞が満載の『鬼滅の刃』第19巻(集英社)

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もっとも「褒め上手」な鬼は…?

 ここまで上弦の参・猗窩座、上弦の弐・童磨による褒めシーンを紹介しましたが……鬼も位が上がるほどボキャブラリーが豊かになるのか、上弦の壱・黒死牟はさらに流暢に褒め言葉を操ります。

大人以上の精神力を持つ14歳・時透無一郎

 鬼殺隊と鬼たちとの最終決戦のなか、霞柱・時透無一郎は、鬼舞辻無惨の部下のなかで最強の上弦の壱・黒死牟(こくしぼう)と相対します。この相手に対し時透は思わず「怖気が止まらない 体が戦闘を拒否している」とたじろぎます。しかし、そこは14歳で柱になった実力者。自らひと呼吸おくと、すぐに平静を取り戻します。その振る舞いを見た黒死牟は時透を絶賛。

「精神力も…申し分…ないようだ」「なかなかに良き技だ…」「その若さでそこまで練り上げられた剣技…私に怯みはしたもののそれを押さえ込み斬りかかる胆力」

 まるでアナウンサーのように、冷静に相手の良いところを述べていきます。時透のポテンシャルが認められたシーンでした。

筋肉で鬼をゾクゾクさせた男・悲鳴嶼行冥

 黒死牟はほかに、岩柱・悲鳴嶼行冥(ひめじまぎょうめい)のことも絶賛しています。その対象は彼のトレードマークである筋肉。鎖型の武器をぶん回しながら向かってくる行冥を見た黒死牟は、思わず「素晴らしい…極限まで練り上げられた肉体の完成形…」「これ程の剣士を拝むのは…それこそ三百年振りか…」と感動。そして、そのコマの擬音には「ゾクゾク」という文字が。鬼を筋肉だけでゾクゾクさせられる男は、間違いなく悲鳴嶼行冥だけと言えるでしょう。

鬼舞辻無惨が認めた「鬼殺隊がつないだ想い」

 最後は、竈門炭治郎たち鬼殺隊が、とうとう鬼の始祖である鬼舞辻無惨を追い詰めたシーンです。人の絆などの類いをまったく信じてこなかった鬼舞辻無惨ですが、薄れ行く意識のなかで「肉体は死ねば終わり だがどうだ 想いは受け継がれ決して滅ばず……」と、鬼殺隊やそれにかかわってきた人間たちの「想い」を認めるようなシーンがありました。無惨の性格を考えれば、これだけでも絶賛と言っていい表現でしょう。

※煉獄の「煉」は「火+東」が正しい表記