オドメーターのリセットは悪質な走行距離改ざん!
走行距離の改ざんの手口「リセット」とは?
例えば、車検の切れたナンバープレートのない走行距離10万kmの車があったとしましょう。この車は車検が切れていますので、中古車として販売し購入者が乗るためには自動車検査登録事務所などで「新規検査・登録」という手続きが必要となります。
この車のオドメーターを不正に「4万km」に書き換えてから「新規検査・登録」をしますと、車検証には以下の用に記載されます。
- 旧走行距離:10万km(前回車検時の走行距離)
- 走行距離:4万km
このままではオドメーターが巻き戻しされていることが明白ですが、車検証にはその差異が記されるため、計算をすれば正しい累計走行距離が得られます。
オドメーターが巻き戻しされているだけでは車検は通ってしまいます。
これは、例えば、スピードメーター等の計器類が壊れ、他の廃車などから正常に使える計器類を移植し、走行距離をそのまま変えずにいた場合があります。
この状態のまま乗っていれば、誰も損はしないで詐欺に当たらず違法行為にはなりません。オドメーターの表示が車検証と異なっていても車検が通るのはこのためでしょう。
しかし、この車を一旦、新規検査に通過、登録後すぐに「一時使用停止」という車検証とナンバープレートを返納する手続きを取ります。スクラップにはしないが、しばらく公道を走らないようにするという手続きです。
そして、その後すぐにまた「新規検査・登録」をすると車検証では以下のようになります。
- 旧走行距離:4万km(直前の新規検査のときのオドメーターの走行距離)
- 走行距離:4万km
オドメーターが不正に改ざんされたことが車検証から読み取れなくなってしまいます。これを「走行距離のリセット」というオドメーターを不正に巻き戻して、車の資産価値を欺く詐欺行為となります。
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オドメーターと密接に関係する「リスク細分型自動車保険」
通販型自動車保険(インターネットから契約できる自動車保険「ダイレクト型自動車保険とも呼ばれる)では、「リスク細分型」という自動車保険が販売されています。
リスク細分型自動車保険とは、契約する人のカーライフに細かく合わせて保険料を設定する仕組みを持つもので、最も顕著なのが年間走行距離に応じた保険料の設定となります。
年間走行距離に応じて保険料が変わる仕組み
当たり前と言われればそれまでですが、走行距離が少ない人は交通事故を起こす可能性が低くなり、保険会社が保険金を支払う可能性も低くなります。
交通事故を起こすリスクが少ない人は、保険会社にとっては保険金を支払うリスクが少なくなるため保険料を安く設定できるという仕組みです。
オドメーターが年間走行距離の申告基準
リスク細分型自動車保険を契約するときに、年間走行距離を申告するのですが、この走行距離は契約する日(保険が有効になる日)から基本的には1年先までの期間の予想距離となります。
この申告した年間走行距離を超える場合の事前連絡義務は契約者に課せられ、無論のこと虚偽なく申告する必要があります。この走行距離はオドメーターが基準となります。
基本的には自己申告で、いちいち保険会社の人が契約者の車のオドメーターのチェックには来ません。しかし、事故を起こして保険金を使うようなことがあれば、保険会社の担当者はオドメーターをチェックします。
虚偽の走行距離の申告があった場合には、保険契約の違反となり保険金が下りない危険性があります。