春から初夏にかけては、各地でブラックバスの産卵期を迎え、巣を作って卵を守るようになる、いわゆるスポーンシーズンを迎える。

そして、その直前にはプリスポーンと呼ばれて、産卵を意識しつつも、体力作りのために盛んにエサを捕食する時期がある。

攻撃的で、かつエサを追うため、ルアーにも盛んにアタックしてくるので、年間を通じて釣れるブラックバスでも比較的釣りやすい好シーズンといえる。

今回はブラックバス釣りのアングラーを歓迎しているフィールドである岐阜県養老川水系の五三川(ごさんがわ)にて、週末に現地オカッパリでのガイドも務めるスーパーロコアングラーで、ラグゼスタッフの大津乗彦さんが、プリスポーン時期のバスをキャッチするノウハウを紹介しよう。

今回のロケでは、前日の大雨による大増水と激しい濁りからの定水位に減水する状況変化が激しい日に当たり、大津さん曰く「バスの位置が安定しない」悪条件ながら、最後にはしっかりと40㎝アップを仕留めてくれた。

その大津さんが愛用するのが、クランクベイトやミノーといったハードルアー。

一見、現地のようなバスアングラーを歓迎しているようなフィールドは人為的なプレッシャーが高く、警戒心も強いバスが数多く潜むので、どちらかといえばワームなどでスローな釣りを展開するアングラーも多いが、大津さんはその逆。

「ハイプレッシャーフィールドだからこそハードルアーが良いんです」と実績を上げている大津さんの理論を紹介してみたい。

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ロケ当日、苦戦を強いられたが、ラストの40㎝アップをキャッチした大津乗彦さん

朝から大増水と激しい濁りの中、五三川での釣りが始まった

ハイプレッシャーフィールドこそハードルアーが良い理由

今回の舞台となった五三川は、遊漁料を支払うことでバス釣りが楽しめる。

フィールドは五三川を中心に、養老川水系にいくつかある河川でも楽しめる。

釣り場にはアングラー用の駐車場である「アングラーズパーク」なども設けられていて、バスアングラーが安心して釣りを楽しめるようになっている。

そのため、平日でも仕事に行く前、帰宅前にちょいとルアーを投げるアングラーの姿が絶えず、週末ともなると見渡す限り何人ものアングラーが釣り場に立っている状況。

平日でもアングラーがズラリと並ぶ風景が見られる

その姿を見ただけでも、ハイプレッシャーフィールドであることが理解できる。

ただ「五三川のバス保有量はすさまじいくらいに多くて、魚影は濃いうえに釣り場も幅広いので攻略の方法さえ間違わなければ楽しめるのが魅力なんです」と大津さんは語る。

さて、そんなハイプレッシャーフィールドを地でいく五三川だが、古くからよく見かけるのは、ワームを使ったキャロライナリグやノーシンカーでのネコリグなど、ボトムを意識してじっくりとスレたバスにルアーを見せてジラし、口を使わせるスローな釣り。

警戒心の高いバスの攻略法としてはそれもあり。

しかし、大津さんは「ハイプレッシャーフィールドこそハードルアーでテンポよく釣るのがバスに出会うための近道と思っています」と言う。

その理由をうかがうと「五三川はポイントが多岐に渡っていて、その時々で活発にエサを追うバスが潜んでいる場所があるんですが、それは竿を出してみないと分からないので、一日の中でどれだけ多くのポイントを回ることができるか…がバス攻略の決め手となります」と話す。

ハードルアーでのテンポの良いスピーディな釣りが大津流の攻略法

ワームでのスローな釣りもありだが、ハードルアーでテンポ良くスピーディーに釣ったほうが数多くの釣り場を回ることができて、結果的に高活性なやる気のあるバスと出会う確率が上がる。

そして、後述するが五三川には非常に多くのゴミや障害物が沈んでいて、決してきれいな河川ではないのだが、実はその障害物にバスが付くことも多い。

そんな川底なのでワームでのボトム攻めの場合、根掛かりなどのリスクも高くなる。

その点、大津さんは「フローティング系のルアーで障害物周りをタイトに攻めながらも、根掛かりを回避することでタイムロスを防ぐことも、バスと出会うためのノウハウなんです」と話す。

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攻略の基本キーワードはシャロー、障害物、シェードだ

では実際に、大津さんが実践する五三川でのバス攻略の基本を紹介していきたい。

「五三川でバスを釣るために意識しておきたいのが、シャローと障害物、そしてシェードなんですよ」と大津さん。

流れがそんなにない五三川でもインレットとアウトレットがあり、川の左右護岸でも水深が大きく変わる場所もあれば、川の中心から両護岸際へ向けて駆け上がりとなる地形も多い。

五三川のシャローエリアは水深でいうと30~50㎝、深くても1mまでのポイントが多く、大抵は沈んでいる障害物が何となく見えるような場所が多い。

春から初夏にかけては産卵を意識するバスも、エサを捕食するバスもシャローに上がってくることが多く、シャローに差してきたバスは障害物周りへと付く。

シャローエリアで岸際を攻める大津さん

なので、沖の深いエリアよりもシャローエリアのほうが攻めるポイントを見定めやすく、障害物周りをタイトに攻めやすい。

これがシャローエリアを勧める理由だ。

五三川を一見すると、シャローエリアには至る所にストラクチャーが存在する。

それは人が捨てたゴミであったり、枯れ枝や杭などバラエティに富んでいる。

それらはすべてバスの付き場となり、攻めるべきポイントとなる。

水中の杭や係留される小舟などは典型的なポイント

非常に広いエリアで釣り場も多い五三川のバスフィールドだが、いざ釣り場に立てば攻めるべきポイントが明確に分かるのも、五三川の魅力の1つとなっているのは間違いない。

そして当然、五三川は「川」であり、岸はしっかりと整備されたコンクリートであったり、木が水面まで張り出しているような場所も多い。

太陽が昇りだすと、両側の護岸や木々による陰の部分、いわゆるシェードが生まれる。

「このシェードがまず分かりやすい好ポイントとなります。それは釣り場について両岸を見た時にどちらに入ろうかという大きな釣り場選びの分かれ目となります。朝や夕方など太陽が低い位置にあるような時は確実にどこかにシェードが生まれるので、そちらを攻めることを第1とします」と大津さん。

また、大きなシェードではなくても、杭が立っているような場所でも杭の陰ができる側を中心にルアーを通すのが良い。

日が高くなれば、張り出した木々でできるシェードや橋の下などもしっかりと攻めておきたい。

そんな際も、陰にある障害物周りを中心に攻めるのが基本だ。

橋の下も典型的な大型のシェードだ