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伝統の飯塚国際で優勝! 車いすテニス・上地結衣はパリで金メダルを目指す

パラサポWEB

30歳の誕生日を目前に控える上地は、今年65歳になる井上との久々の対戦を純粋に楽しんでもいた。

「井上選手は私が(車いすテニスを)始めた10歳、11歳の頃に同じ左利きでなかなか勝てなくて悔しい思いした選手の1人でもあります。こうして今もまた対戦させてもらえるのは凄く嬉しい。井上選手にはいつも気にかけていただいている。自分が長く続けてるからこそ、こういうつながりがあるのだと思う」

当時、学生ボランティアとして大会を支えていたスタッフが、今は立場が変わって大会をまとめていることも感慨深かった。旧知のスタッフと会場で会えば心が和み、会話が弾む。その時間も上地のパワーの源となった。

「以前はみんながお兄ちゃん、お姉ちゃんだったのに、今は(周囲を見渡しても)私の方が年上。月日の流れを感じるけど、その(当時から支えてくれている)方たちがいまだに残って大会を支えてくださっていることも、自分がこの大会に戻ってきたいと思う理由の一つです」としみじみ語る。

世界女王を倒すために

パリ2024パラリンピックでは今回不参加だった世界ランキング1位のディーデ・デフロート(オランダ)を破って金メダルを獲得することが最大の目標となる。

世界ランキング1位を独走するデフロート
(写真は昨年の飯塚国際車いすテニス大会)photo by Tomohiko Sato

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デフロートは2016年のリオパラリンピック以降、一頭地を抜く存在となった最大のライバル。打ち破ることのできない相手に対してこのところ徐々に力の差を詰めてきていることを感じているという上地は、今、デフロートに対してこのような思いを抱いている。

「考えれば考えるほど、彼女と自分の本来やりたいスタイルは似ていると感じる。彼女はパワーもあるし、速いショットを打とうと思えば打てるけれども無理をせずにしっかりと自分の時間を作って展開をしていく。自分もやりたいことと似ていると思うからこそ、やりたいことをどちらが先に崩せるか」

そのうえで上地が強化したいと考えているのは決定打の技術。現在はその差を埋めるためのひとつの方法として、車いすの座面を調整している最中だ。

2024年に入ってから全豪オープンでは硬めと柔らかめの2種類の座面を用意。今大会では全豪で試した柔らかめのタイプよりさらに柔らかいものを使用した。現在使用中の座面はただ柔らかいだけではなく、前後左右に激しく動くときのホールド感が備わっており、「自分の体に合っている。より動きやすくなったと思うし、操作性も上がった。ボールに入る位置が良くなったと思う」と相性の良さを感じている。

「デフロート選手は、私がもう一歩ギアを上げなければ勝てない選手。8月のパラリンピックでしっかりと結果を残し、金メダルを取って、またこの場所(飯塚)に戻ってくることが目標でもあります」
上地は言葉に力を込めて言った。

第40回大会終了後の記念撮影。多くのボランティアらが天皇杯・皇后杯 飯塚国際車いすテニス大会を支えている
photo by Asuka Senaga

今回は男子シングルスで連覇を果たした小田凱人とのアベック優勝。男女そろっての“日本人V”は上地と国枝が優勝した2015年の第31回大会以来だった。

「そろって優勝できたのは嬉しいし、パリでもそうなりたい」とは小田の言葉。

思い出の詰まった飯塚で上地が新たなエネルギーをチャージした。

※世界ランキングは4月14日時点

text by TEAM A
key visual by SportsPressJP

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