「すごく悔しいけど、やり切れたと思います。中井HCが、神奈川相手にここまで戦えてすごいことだよ、誇りに思う、とねぎらいの言葉をかけてくれました。ただ、点差以上に力の差があったことも事実。来年のことはまだわかりませんが、まずは自分たちの現在地をしっかり受け止めます」(赤石)
神奈川は赤、埼玉は緑……観客が身につけたチームカラーも目立った今大会。埼玉の応援リーダー「マスク・ド・グリーン」らが応援席を盛り上げた改めて浮き彫りになった日本代表の課題
ディフェンスの重要性を感じさせるシーンが見られた一方で、「お互いにシュートを落とすナイーブな展開」(中井HC)に、改めて日本の車いすバスケットボールの課題を感じたファンも少なくなかったのではないか。もちろん、得点力不足は、選手たちも重々承知だ。神奈川の得点源である髙柗も、思うようなスタッツを残せず、優勝インタビューでも反省しきり。
ファンの前で「次はいっぱい点を取れるようにでかくなって(天皇杯の舞台に)帰ってきたい」と誓った。
大会1日目に「僕はシュートが得意なプレーヤーではない」と語っていた髙柗大会MVPに輝いた丸山も、決勝では、16本放った2ポイントシュートのうち決めたのは1本で、4本のフリースローはすべて外し、2得点に終わっている。本来の調子からはほど遠い結果に、「緊張したわけではなかったのですが、なかなか決められませんでした」と反省の弁。
「(成功率を上げるためには、本番同様の)シチュエーションをイメージして練習したり、試合に入る前のメンタルや行動、日常生活など、バスケット以外のところももっと意識をしなければいけないかなと思いました」
MVPについて「自分ではない、と思ったんですけど、3試合をこなして評価してもらえたことは素直に嬉しい」と丸山広告の後にも続きます
神奈川の2連覇で幕を閉じた天皇杯に、東京2020パラリンピックから3年が経とうとしている今も車いすバスケットボール人気が続いていることが見て取れた。国際舞台を勝ち抜く力のベースは、日々を過ごすチーム活動の中でこそ培われる。男子日本代表は先のAOCで敗れ、1976年トロント大会以来12大会連続出場してきたパラリンピックの切符を獲得できなかった。パリ行きを逃したにもかかわらず天皇杯を現地で観戦しようと足を運んだファンの大声援を力に変えて、各チーム、選手のさらなる飛躍を期待したい。
2日間で計5,842人の観客がチケットを購入し、車いすバスケットボール日本一決定戦を観戦した※カッコ内は、障がいの種類やレベルによって与えられた持ち点。Kは健常プレーヤー。
text by TEAM A
photo by X-1
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これが車いすバスケットボールだ!