同大会9位だったブラジル代表メンバーはみんな、日系企業が多いことでも知られるサンパウロの出身です。ブラジル南東部に位置するサンパウロはここ数年の最低気温は13度で、「本当に寒い日で10度くらい」のあったかさ。
普段はライバル関係にある国内の2チームから選出された代表メンバー。車いすカーリングの強化は2022年3月に本格的に始まり、コーチを含め競技経験の浅い人たちの集まりですが、車いすカーリング愛はほかのチームに負けていません!――車いすカーリングのどんなところが好きですか?
ジェロニモ・ガブリエル(以下、ジェロニモ): 戦略的なところだね。チームのみんなが力を合わせて戦うという要素も好き。
イェザ・ソウザ(以下、イェザ): 家族みたいなチームの絆かな。
ジェロニモ: イェザみたいに若いアスリートと年齢の高い選手が一緒にプレーできるし、成長を一緒に感じられるところもいいよね。
ブラジルのジェロニモは、車いすバスケットボール、水泳、アーチェリーにも取り組む四刀流アスリート。仕事は引退し、現在は選手活動に専念しています広告の後にも続きます
――試合中の様子を見ていると、個のキャラクターが強そうです。ジェロニモ、キャプテンとしての苦労はありますか?
ジェロニモ: 大変だね。気持ちをぶつけて、チームのバランスをとるときもある。でも忘れないようにしていることがあるんだ。それは、勝ったときも負けたときもみんな一緒、つまり「正しいときはみんな正しい、間違いはみんなの間違い」。みんなで勝敗を分かち合うことが大切だと思ってる。
――それにしても、アイスリンクに長時間いるだけで大変そうですね……。
イェザ: ほんと凍っちゃう! 車いすカーリングを始めたときは、体験したことのない寒さにびっくりして、氷の上に乗るのも少し怖かった。でも防寒着を重ね着すればへっちゃらだよ。
「この代表ユニフォームは私のものだから誰にも渡さないよ!」とイェザ。「BBQおじさんと一緒にやってます(笑)」とも。BBQおじさん? 口うるさい中年おじさんのことをこう呼ぶんだとか――競技をやっていることに対して、周りの反応はどうでしたか?
イェザ: 友だちも家族も驚いてた。「私、車いすカーリング選手なんだ」といったら、「えっ?」とか「カーリングって何?」って。でもみんなサポートしてくれて、大会のYouTube配信を観てくれたり、そのURLをSNSでシェアしてくれたり、すごく応援してくれてる。
――初めての世界大会で勝つ経験もしました。
ジェロニモ: 緊張していたけど、大舞台に立てることを素晴らしいと感じたし、最初のブラジル代表になれたことも誇りに思う。大会が始まったときはちょっと心配だったんだ。ほかのチームは素晴らしい歴史を持っていたり、パラリンピックにも出場したりしている。こんなチームと対戦して本当に大丈夫かなって。だからスペインに1勝を挙げられたことは、大きな仕事をやってのけたし、短い間ですごく成長できた。上手にはできなかったかもしれないけど、大会を通じてよく戦えたと思う。
ビビットなピンクが目を引いたデリバリースティック。ジェロニモは「実は資金不足でいいスティックが買えなくて……。それを知ったイングランドチームが貸してくれました」と、国を越えた交流を明かしてくれました――選手たちの目標は、パラリンピック出場です。バモス(行け)スペイン&ブラジル!
interview by Reiko Shikama(TEAM A)
photo by TEAM A