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不滅の記録を破る!? 義足の超人の悩みを解決した用具の技術

パラサポWEB

オズールは、今ではドイツのオットーボック社と並ぶ競技用義足パーツの二大メーカーになった。パラリンピックに出場する義足選手の多くが、この二つのメーカーのどちらかの製品を使用している。ルコントさんは、パラアスリートから支持されている理由について、こう話す。

「選手にとって良いデザインのブレードがあり、オズールにはそのデザインを製造する能力があります。また、選手と一緒に、より良いブレードを作ろうとしています。だから、選手にとってのベストな製品になっているのだと思います」

「何の秘密もない」レームの義足

一方、レームがオリンピック選手をしのぐ記録を連発したことで、オズールの義足が問題になったこともある。用具によって記録を伸ばす「テクニカル・ドーピング」にあたると批判されるようになったのだ。これについて、レームに質問をぶつけてみた。

「ほかのアスリートは、私が使用しているブレードの種類を知っているはずです。商品のシリアル番号もね。私の義足は市販されている商品だし、何の秘密もないよ。私は、(他のアスリートと義足について)共有できることを歓迎しているんだ」

2023年7月にパリで開催されたパラ陸上の世界選手権では、8m以上のジャンプをしたのは彼だけだった。一方で、彼のような突出した記録を出せるアスリートがいたからこそ、スピードと耐久性を両立できる新しい義足の技術が発達したともいえる。ルコントさんも「アスリート用の義足を開発するには、精度の高い計測装置や衝撃テストの分析が必要で、それが一般用の義足の改良にも活かされている」と話す。

ビール好きだというレーム。ビール樽を片手に撮影に応じてくれた
photo by Takao Ochi

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オズールの理念は「LIFE WITHOUT LIMITATIONS(限界のない人生)」だ。パラアスリートの限界を超えるには、その強靭な肉体に合わせた用具の開発が必要となる。そして、その歩みは今、30年以上破られていない8m95の世界記録を超えるという形で、人間そのものの限界を超える挑戦に向かっている。

editing by TEAM A
text by KANPARA PRESS(Yukifumi Nishioka)
key visual by Takashi Okui

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