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このままでは雪がなくなる。ノルディックスキー渡部暁斗の気候変動への挑戦

パラサポWEB

渡部選手がこの取り組みを始めたとき、前出の国連のアプリで計測した二酸化炭素の排出量は70トン。それを今年は52トンにまで縮小することができたのだそう。

「このアプリは細かく入力できるものではないので、あくまでも概算になりますが、飛行機での移動が減ったのと、食べ物を買う場合は地産地消を意識する、ゴミの分別をしっかりしてリサイクルができるようにするなど、日々の意識を少し変えるだけでも二酸化炭素の排出量を抑えることはできます。一般の方は、僕ほど排出量は多くないはずなので、元々18トンぐらいかもしれないですが、それでも少し意識するだけで十分に効果は出ると思います」

先日、渡部選手とAllbirdsがエコパートナーとして2年目の契約を締結するに当たり、プレス発表会が行われた。そこで明らかにされたのは、2年目の今年は、渡部選手の現在の二酸化炭素排出量にあたる52トン分のAllbirdsの協賛金は北海道のJ-クレジットの購入に。そして、縮小することができた18トン分はこれを原資にして、今度は次世代を担う子どもたちの意識改革に取り組むということ。

「僕の住む長野県内のノルディックスキーをやっている小中学生に、同じく須坂市にある北信ファームという農園のリンゴを差し入れしたいと考えています。北信ファームはエコパートナーを募集したときに応募してくれた農園で、作物の善し悪しは気候変動と密接に関わり合っています。今は美味しく食べられる果物も、気温が高くなると長野で作れなくなってしまうという話をすれば、子どもたちの意識も高まるでしょう。二酸化炭素の排出量を抑える、地産地消を意識することによってこんなにいいことがあるという体験を、一人でも多くの子どもたちにしてもらいたいと考えています。
ちなみに、今回北海道のJ-クレジットを購入することにしたのは、妻の実家が北海道でメロン農園をやっているのですが、この夏の猛暑でハウス1棟分のメロンがダメになったことを聞いたからです。北海道でさえ、そんなことになっているということに大きなショックを受け、ますます気候変動の問題に、自分事として取り組まなければいけないという気持ちが強くなりました」

先日、国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長が、冬季オリンピックを開催できる国は2040年までに10カ国に減るだろうという予測を発表したことが話題になった。それに関しても渡部選手は、自分の携わるスキー競技自体の存続も含めて危機感をあらわにしていた。もはや、問題が大きすぎるとためらっている暇は私たちに残されていないのではないか。自分事としてできることから、どんなに小さなことからでもはじめてみる必要があるだろう。

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text by Reiko Sadaie(Parasapo Lab)
photo by Kazuhisa Yoshinaga, Shutterstock
写真提供:ファーストトラック株式会社

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