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スポーツでの子供の成長。親が注目すべきなのは、勝利ではなく2つ目のゴール

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とかく保護者というものは、子どもに対してなにをしなさい、なにはしていけないと、口うるさくなりがちだ。しかし、3などは特に象徴的だと思われるが、“聞く”ということがいかに大事であるかをジム・トンプソンは説いていることがおわかりいただけるだろう。

次に、指導者との関係性だ。たとえば学校で、保護者と指導者が協力すれば、子どもの成績が向上するのはよく知られていることだ。それはユーススポーツの世界でも同じなのだが、指導者が良い指導者であるか否かは、大いに気になるところだろう。指導に気に入らないところがあり、子どもに不満を漏らしたら良い結果をもたらさないであろうことは容易に想像できる。

結局、いい監督というのは、どのような監督なのだろうか。まず最も大事なのは、選手たちが常に楽しいと感じながら取り組むことができるような指導ができる監督だ。特に、勝つ試合よりも負ける試合の方が多くなっているとき、それができるかどうかが非常に重要である。お子さんのチームの監督がそれができている監督であれば、何か比較的小さな欠点があったとしても目をつぶってあげよう。最も大事な特徴を備えている監督で「よかった」と思うようにしよう。なぜなら、その監督は、お子さんにとって「いい」監督だからだ。

『ダブル・ゴール・コーチ 勝利と豊かな人生を手に入れるための指導法』(ジム・トンプソン著・鈴木佑依子訳・東洋館出版社刊)より

本書には、そんな指導者とどのようにコミュニケーションを取ったら良いか、指導に介入する必要があるときとはどんなときか、介入する際にはどのようなことに気をつけたら良いかなど、関係性のガイドラインも紹介されているので、興味のある方は一読をお勧めする。

そして最後の“自分自身との関係”の構築に関しては、疑問を持たれる方もいるのではないだろうか。しかし、自身のことは意外に自分では気づきにくい。そして、子どもが最大限の学びを得るためには、保護者が自己管理をし、子どもの力になれるように努めなければならないとジム・トンプソンは主張する。

セカンド・ゴール・ペアレントとしての役目を思い出させてくれるテクニックが、映画作りの世界にある。写す対象からズームアウトし、「引く」という撮り方である。
本章のはじめに説明したとおり、狭い視野を持ちズームインすると、そこに見えるのは小さな絵だ。ユーススポーツにおける小さな絵とは、「子供がどれだけ上手にプレーするか」である。全体像、すなわち大きな絵は、「ユーススポーツに参加することで、子供がいかに人生に役立つことを学べるか」。私たちは、子供が良いプレーをできないと苛立つ。そのようなときには、引いて、大きな絵を見るようにしよう。そうすることにより、子供がよいプレーをできていないときは、メンタルを強化し、立ち直り方を学ぶよい機会だということに気づくはずだ。

『ダブル・ゴール・コーチ 勝利と豊かな人生を手に入れるための指導法』(ジム・トンプソン著・鈴木佑依子訳・東洋館出版社刊)より

ユーススポーツを通して、若いアスリートが勝利と豊かな人生を手に入れるための指導者のノウハウ“ダブル・ゴール・コーチ”について、第一人者であるジム・トンプソンの著書から、保護者に焦点を絞って紹介した。全8章のうち、1章が割かれただけではあるものの、とても濃い内容であることに驚かされた。ユーススポーツに限らず、子育て全般に通じる普遍的なアドバイスと言えるのではないだろうか。

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text by Reiko Sadaie(Parasapo Lab)
photo by Shutterstock


<参考図書>
『ダブル・ゴール・コーチ 勝利と豊かな人生を手に入れるための指導法』

鈴木佑依子訳・東洋館出版社刊
子どもにとってスポーツとの出会いは、人生に多大な影響を与える重要な体験のひとつ。しかし、指導者や親の厳しい指導によって挫折し離れてしまう子どもも多い。そこで重要になるのが、勝利だけをスポーツのゴールとしない考え方。本書は、PCA(ポジティブ・コーチング・アライアンス)メソッドを提唱したジム・トンプソン氏がその理論を詳述し、全米を席巻したユーススポーツコーチングのバイブルの邦訳。すべての子どもたちがスポーツを通じて人生を豊かにするために指導者や親はどうするべきかがわかる実践的な内容が網羅されている。

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