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子供たちの野球離れを救え!野球グローブの再生で創るサーキュラーエコノミーの未来

パラサポWEB

もう一つは、まだまだ利用できるグローブが廃棄されてしまっているもったいない実情があります。上質な天然皮革が使用されている野球のグローブは本来、再生可能な貴重な資源で、上手に手直ししていけば、長く愛用できる道具なんです。しかし、就職や結婚といったタイミングで野球から離れてしまうと、眠ったままの状態で保管され、そのまま廃棄されてしまうケースも少なくないんです」(米沢谷氏)

そこで生まれたのが、グローブを起点としたRe-Birthオリジナルのサーキュラーエコノミー(循環型経済)だ。使用済みや休眠中のグローブを廃棄されてしまう前に回収し、それらを高度な再生技術を用いて高品質かつ低価格なグローブに生まれ変えらせ、次のプレイヤーへとつないでいく。そうすれば、グローブの廃棄を減らしながら、子どもたちには手に取りやすい価格で使いやすいグローブを提供することができるというわけだ。単にリユースの観点から地球環境に優しい事業を行おうとしているのではなく、野球界の未来のために「グローブの再生・循環」を根付かそうとしている点もRe-Birthが支持される理由の一つになっている。

グローバルポーターズのホームページより。グローブの回収、修理・再生、販売、次のプレーヤーの使用と循環の輪を広げることで、グローブを未来へとつなぐ仕組みを構築する

「私たちはグローブにも『第二の人生』があると思っているんです。前の持ち主に使われなくなって、ガレージや倉庫で眠らされてしまうのであれば、必要としている人のもとへ旅立ち、愛着を持って使ってもらえる方がグローブも嬉しいはず。資源を循環させることはもちろん、グローブに込められた想いや愛着も次のプレイヤーへとつないでいくために、私たちはサーキュラーエコノミーというモデルを活用して経済的な実現を図っているんです」(米沢谷氏)

持続可能な野球界の未来のために、地域の野球文化を支える存在へと飛躍

新店舗となる多摩永山店でコラボレートを果たした「プレミアムベイス野球スクール」。西武ライオンズに所属していた佐伯秀喜選手による、小学校高学年から中学生向けの本格的な少人数制スクールだ

4月には野球の練習場を併設した都内3店舗目となる多摩永山店をオープンさせ、元プロ野球選手が運営する「プレミアムベイス野球スクール」ともコラボレーションを果たしたRe-Birth。再生グローブの使用感がその場で試せるようになったことはもちろん、野球技術の上達からアフターサービスまでをワンストップでフォローする体制を整えたことで、お客さんの満足度はよりいっそう高まっているという。

また、日本とイタリアの2カ国でプロ野球選手として活躍し、現在はストリートファッションブランド「NEXT THING」を手掛けている湊川誠隆氏の監修のもと、オリジナルのアパレルブランド「RB」も展開。ファッションを入り口に、より多くの人たちに野球や再生グローブに関心を持ってもらおうと、店舗展開以外の新境地も開拓している。

「NEXT THING」のこだわりは、ウエア類にグローブの余り革を活用したブランドタグを付けるところ。こうしたブランドのスタンスからお互いの想いに共感が生まれ、「RB」を始動させることとなった。現在はTシャツとキャップの2アイテムを展開中

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そんな米沢谷氏にRe-Birthのこれからの展望を尋ねると、次のような目標を語ってくれた。

「現在は3つの実店舗とオンラインのサービスで全国からの受注を承っているのですが、今後はもっとたくさんの実店舗を日本中に展開したいと考えています。その理由には、グローブ選びの悩みやカスタムの相談を対面でしっかりお聞きしたいということも挙げられるのですが、一番の理由は街の野球専門店がなくなることで地域の野球文化が廃れてしまうことを防ぎたいからなんです。

私が現役選手だった頃には、中核市には必ずと言っていいほど、野球の専門店がいくつかあり、そこにいる確かな技術を持った職人気質の親父さんがグローブの扱い方や型のつけ方を丁寧に教えてくれていました。しかし、高齢化に伴う廃業が進む現在では、地方に行けば行くほど、そういったプロショップはなくなりつつあります。そのような地域にRe-Birthが出店したり、または廃業を考えているオーナーさんからお店を引き継いでいくことで、地域の野球文化を絶やすことなく継承していきたいですね。

それには職人の育成も重要となるため、来春にはグローブの再生技術を習得できる学校を開校し、体系化されたプログラムのもとで職人を育てるという日本初の試みにも挑戦します」(米沢谷氏)

一人前の職人に成長するには、4年ほどの修行が必要となるというグローブの再生技術。リーダーを務める大木賢(おおき・さとし)氏は、忙しい修理の合間を縫って、後輩たちの育成にも汗を流す

グローブの再生に始まり、野球文化を支えるプロショップの増店や職人の育成と、モノ・コト・ヒトの3面から野球界にSDGsを浸透させようと奮闘する米沢谷氏。「再生する」「生まれ変わる」という意味を持つRe-Birthの名の通り、野球界を生まれ変わらせる新しい取り組みで持続可能な未来が拓かれることを期待したい。

PROFILE 米沢谷友広(よねざわや・ともひろ)
1982年生まれ。7歳の頃から野球に打ち込み、名門・秋田商業から甲子園へ出場。神奈川大学を経て、スポーツ小売業大手のゼビオ株式会社に新卒入社。経営企画室で広報活動やスポンサード事業、新規事業の開発やM&Aなどの投資関連業務に従事する。その間、カリフォルニア大学にてアントレプレナーシップやビジネスインキュベーション、コーポレートファイナンスなどの単位を取得する。2012年にAmazon Japanに入社。スポーツ&アウトドア事業部の商品戦略部統括部長などを歴任し、2017年にグローバルポーターズ株式会社を起業。トータルベースボールカンパニー構想の実現に向け、野球界の発展に努めている。

text by Jun Takayanagi(Parasapo Lab)
photo by Yoshio Yoshida

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