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恐竜の姿でなぜ? ティラノサウルスたちが全力疾走するレースが生み出すもの

パラサポWEB

2023年に国立科学博物館と大阪市立自然史博物館で行われた「恐竜博2023」は、来場者数が40万人を突破するほどの大盛況となった。そんな子どもも大人も魅了する恐竜の代表格・ティラノサウルスの着ぐるみをきて走るレースが、じわじわと人気となっているという。そこで、日本で最初にティラノサウルスレースを行った日本ティラノサウルス保存会の会長、川本直樹氏にレースの魅力をうかがった。

見る人を笑顔にする決まったルールのないレース

レース前、着ぐるみ姿のまま、ラジオ体操をする参加者たち

いかにも獰猛そうな恐竜の着ぐるみを着た人たちが、短い手を振って全力疾走する姿に、思わずクスリと笑ってしまうティラノサウルスレース。その発祥はアメリカで、ある企業が従業員の団結力を高める目的で開催したのが始まりと言われている。この光景をSNSで見た川本氏は、当時自身が経営に携わっていたグランピング施設のイベントの一環として、大会を開催したそうだ。

「当時はちょうど、コロナ禍の影響でいろいろなイベントに影響が出始めた頃でした。学生の修学旅行が中止になったなどの話を聞いて、あまりにかわいそうだなと思ったので、そういったコロナ禍の影響が直撃している10代の子たちにエンターテインメントを提供できれば、と考えたのがきっかけでした」(川本氏、以下同)

この、おそらく国内初のティラノサウルスレースが思いのほか話題となり、予想を超える応募があって、テレビでも取り上げられたという。現在では日本全国でレースが行われるようになったが、実はレース内容にはこれといった明確なルールはない。レース中に身につける着ぐるみも、走る距離も、それどころか、そもそも「走らなければいけない」というルールさえも存在しないそうなのだ。

レースなのに速く走らなくていい?

ティラノサウルスの着ぐるみも、色とりどりで、参加者の個性が表れる

なぜ、ティラノサウルスレースには明確な定義が存在しないのか? その問いに川本さんは「どうでもいいから」と答えた。

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「正直な話、レースですが誰が早く走れるかというのは、どうでもいいんです。よく『こんなおばさんでも大丈夫ですか』とか、『足が悪くてうまく走れませんけど参加してもいいですか』といった質問をされます。別に足が速い人しか走っちゃいけないわけではないですよね。ティラノサウルスレースでは、走りたい人は走ればいいし、走りたくないんだったら参加しなくていい。そういう間口の広いレースがあってもいいんじゃないでしょうか」

そんな思いを象徴する印象的なエピソードがあったそうだ。

「第1回大会で、一番高齢の60代の方が、『ヘルニアなのでコースの傾斜しているところは、うまく走れないかもしれません』と言っていたんです。だから、『だったら歩いてゴールしたらいいんじゃないですか』というような返事をしたところ、結局ビリではあったんですけど、きちんとゴールされました。その方が先にゴールしていた他のティラノサウルスたちに温かく迎えられていたのを見て、そういうのが大事だよねと思ったんです」

だから今でも、レースに関して「こうでなくてはいけない」というルールは作っていない。レースを主催する人たちが、自分たちの企画にあった場所で、自分たちなりのルールを作ってくれればいいと考えているからだ。

「特定のルールみたいなものを作ってしまうと、競技性が高まっていくので、それは違うなと。競技性が高まるとそのために練習して勝ちにくる人がくる。そうじゃなくて、もっとどうでもいいものとして存在したほうがいいんじゃないかなという感じですね」

レースの内容は主催者次第

拾ったゴミの量を競い合う「海ごみゼロ」のイベント

これといった厳密なルールのないティラノサウルスレースは、まず基本となる着ぐるみにも、特に決まりはなく、参加者が思い思いのものを準備する場合もあれば、会場でレンタルしているケースもある。さらにレースの内容は全国で形を変え、いろいろなルールで開催されている。中でも、川本氏の印象に残ったレースをいくつか紹介してもらった。

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