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車いすテニスの開拓者・国枝慎吾、マイアミオープン優勝の舞台裏

パラサポWEB

3月下旬、昨年引退した国枝慎吾さんが車いすテニス・現世界1位のヒューイットを撃破したニュースが駆け巡った。新たなキャリアをスタートさせたパイオニアが今、挑戦していることとは何か。トーナメントディレクター兼選手として出場したマイアミオープンを現地取材したライターの内田暁さんに寄稿してもらった。

湿度を帯びた空気は太陽の熱を抱え込み、肌にしつこくまとわりつく。ヤシの木の葉をゆらす海風は、出店のハンバーガーやアルコールの香りも、コート上へと運んでいた。時おりその匂いに誘われたかのように、イグアナがひょっこり顔を出すのも、この大会の風物詩だ。

フロリダ半島先端の町で、毎年3月末に2週間かけて開催されるマイアミオープンは、男女共催のテニスツアー大会。規模や賞金総額、そして観客数の多さからも、“第5のグランドスラム”と呼ばれることもあるほどだ。

その大会の2週目――。ジャージに身を包んだ国枝慎吾さんの姿が、会場のいたるところにあった。

会見室で取材に対応し、コート上で行われる表彰式でプレゼンターを務め、そして数時間後には選手としてボールを追う。昨年1月に現役を退いた“車いすテニス界のレジェンド”は、今年初めて開催された“車いすテニス・インビテーション”のトーナメントディレクター兼選手として、文字通り会場内を走り回っていた。

“車いすテニスのレジェンド”が渡米した理由

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国枝さんが、マイアミから330㎞ほど離れたフロリダ州オーランドに移住したのは、約2ヵ月前。その地に根を張るUSTA(全米テニス協会)のトレーニングセンターで、“アドバイザー”として新たなキャリアをスタートした。

新天地に求めたのは「一番は英語の勉強です」と、レジェンドは控え目に笑う。ただもちろん、98面のテニスコートがずらりと並び、最新トレーニング機器や熟練のスタッフを備える施設に魅せられたのも、また事実。その環境に身を置きたいと望み、自らUSTAに掛け合った。15年に及ぶチャンピオンとしての経験と知見を、車いすテニスのみならず、多くの選手に伝えるのが彼に求められた役目だ。

マイアミオープンで元世界1位は全力プレーを見せた
photo by AP/AFLO

国枝さんにはもう一つ、USTAに来て知りたかったこと、挑戦してみたいことがあった。それは、アメリカにおける車いすテニス発展への寄与。アメリカは一般の車いす利用者も多く、公共施設のバリアフリーも徹底されている。ただ車いすテニスとなると、トップ選手が育っていないのが現状だ。USTAトレーニングセンターを拠点としている選手も、女子世界ランキング7位のダナ・マシューソン(アメリカ)ただ一人である。

「USTAのトレーニングセンターは、施設的にはすごく整っている。選手が強くなる環境はあるんですが、アメリカの車いすテニスは、20年くらい低迷しているところもあるんですね」

自身に問いかけるように、国枝さんが言葉を紡いだ。

「ここは、アメリカンドリームの国。強い選手が出てくると、スポンサーさんもついて、今の日本のようにいい流れができるんじゃないかなって期待もしているんです。やっぱりこの国で車いすテニスが強いと、世界的にもっと盛り上がると思うんですよ。それだけ強い選手にお金を出す国でもあるし、経済規模も大きい。今、車いすテニスは日本とヨーロッパが中心だけど、アメリカが強かったらという思いはあります」

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