本部に「守護る」と言われ、涙を浮かべながら激怒する勇次郎。『刃牙道』9巻(秋田書店)

【画像】いつもより弱くなってる? 範馬勇次郎が「ホテルでやらかした」場面を見る(6枚)

泣き顔でネット笑撃

 格闘マンガ『刃牙』シリーズに登場する範馬勇次郎は、主人公の範馬刃牙の父親であり、「地上最強の生物」の異名を持つ作中最強のキャラです。素手のみで軍隊を殲滅する戦闘力を持つ勇次郎に対して恐怖したアメリカ合衆国は、歴代大統領が宣誓する形で勇次郎個人とアメリカ政府との友好条約を結んでいます。

 しかし、実は最強の名に似つかわしくないような「やらかしてしまった」場面も存在していました。最強ながらネットでいじられることの多い、裕次郎の「してやられた」エピソードを紹介していきます。

 よく話題になるのは、最大トーナメントに乱入した挙句に麻酔銃で撃たれて捕縛されたというエピソードです。『グラップラー刃牙』のクライマックスである「最大トーナメント編」にて、勇次郎は自分が推薦した天内悠の戦いに対する態度に激怒、彼を半殺しにすると、トーナメントに乱入して次々と参加者を倒していきます。

 ボクシングでヘヴィ級チャンプのアイアン・マイケルを倒し、横綱・金竜山の突進を難なく止めるなどそこまでは「最強」にふさわしい強さだったのですが、その後は大型動物用の麻酔銃で打たれ、捕獲用の網に阻まれ、最後は昏倒してしまいます。

 軍隊とも闘えるはずの人物が麻酔銃で眠らされるという展開に、「実弾だったら死んでるだろ」「実はバキでは麻酔銃が最強だった?」などとも言われてしまった場面でした。ただ、「麻酔銃でどうせ死にはしないという状況だから、勇次郎は逆にそんなに本気にならなかったのでは」「16歳時点でベトナムで米軍の大隊壊滅させてるし、相手が実弾だったら逆にもっと強かったかも」「麻酔食らった状態でも殺気感じたら飛び起きるはず」などと、麻酔での攻撃というイレギュラーな状況ゆえに負けたという考察もあるようです。

 また、郭海皇(かく・かいおう)に死んだふりをされたエピソードも、勇次郎としては恥ずかしい話でしょう。第2部『バキ』の「大擂台賽(だいらいたいさい)編」で「中国拳法の頂」である郭海皇と対峙した勇次郎は、郭の武術を上回る天才ぶり、そしてシンプルな力の強さを見せつけます。

 勇次郎は本気を出して、背中の「鬼の泣き顔」を出現させ、全力のパンチを打ち込もうとします。しかし、拳が当たる直前に郭が「老衰で死亡」したため、勇次郎は寸止めで終わらせ、戦いは無効になりました。

 しかし、そのすぐ後にこの郭の死は、勇次郎には勝てないと悟った彼の「死んだふり」だったと分かります。勇次郎本人もさぞ悔しい思いをしたことでしょう。「最強でもいきなり死んだふりされたら気付けないか」「昔の勇次郎だったら相手が死んでようがそのまま顔面砕いてたと思うし、丸くなった証拠では」「なんだかんだ郭海皇のことリスペクトしてたみたいだし、死体は殴れなかったんだな」と、いろんな意見が出る決着となりました。

 その後、「武」に生きる者たちの伝説である宮本武蔵がクローンとして蘇った4部『刃牙道』では、格下の本部以蔵が勇次郎を「守護る(まもる)」と発言します。この言葉に涙を流すほどブチギレた勇次郎でしたが、古流の武具を使えば一気に強さが増す本部は、煙玉で勇次郎の前から見事逃げおおせました。勇次郎の涙目含め、衝撃のシーンとして、かなりの話題となった場面です。

 そして、その後宣言通り本部は武蔵の攻撃の前に身体を投げ出して勇次郎を守ってみせます。起きていることは本部がいきなり乱入して勝手に攻撃を受けただけですが、「本部がついに守護った!」と読者が大いに盛り上がったシーンでもあります。

 勇次郎vs武蔵の展開は、勇次郎の方が優勢のように見えましたが、武蔵が刀を使わない奥義「無刀での二天一流」で勇次郎を攻撃していたらどうなっていたのかは分からずじまいです。本部いわく、自分が止めなければ勇次郎は武蔵に斬られていたとのことで、ネット上では「決着見たかった」「あそこが刃牙の頂上決戦だったと思う」とこの続きを見たがっている読者も多いようです。

 勇次郎が本部にしてやられ、涙を流した場所は都内の高級ホテルでしたが、そもそも彼は「ホテルにいると普段より弱くなっている」という説も出ていました。『グラップラー刃牙』の序盤、まだ登場したばかりの勇次郎が「ドアノブ越しに負けた」場面が特に有名です。

 ホテルで就寝しようとしていた勇次郎ですが、ドアの向こうから気配を感じ、名前を呼ばれたため、彼はドアノブに手をかけます。しかし、ドアノブを回そうとしたところ、反対側から逆に捻りあげられました。勇次郎も「おッ おッ お!?」「なんて握力だッッッ」と言っており、慌てていたように見えます。その後、ドアは破壊され、向こう側にいた人物は直後に逃亡していました。

 ドアノブの向こうにいたのはそのエピソード後に登場した鎬紅葉だと考える読者が多いですが、正体ははっきり明かされていません。「初期の刃牙にやられた紅葉があそこまでやるとは思えない」「ドアノブの向こうにいた人物こそ世界最強」「今やってる『刃牙らへん』であの時のドアノブの向こう側の人が30年越しに登場したら激アツ」といった声もあがっていました。

 その後も勇次郎はホテルでマホメド・アライJr.を挑発するも逃げられる、という失態を犯しています。5部『バキ道』では、LAの某ホテルにて次期大統領のバイデムの「宣誓」を許してはならないとまくし立てる合衆国前大統領・トラムプの前で、勇次郎が「寝落ち」するという場面もありました。

 当然といえば当然ですが、勇次郎はホテルでは人一倍リラックスしてしまい、戦闘モードになりにくいのかもしれません。刃牙との「親子喧嘩」が勃発した場所もホテルでしたし、今後も勇次郎がホテルにいる場面は要注目です。