TVアニメ『葬送のフリーレン』キービジュアル (C)山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会

【画像】ニヤニヤ止まらん! かわいさ、カッコ良さを兼ね備えたフリーレン(4枚)

「故郷の花を見せたい」に秘めた想いとは?

 アニメ『葬送のフリーレン』は、かつて魔王を討伐した勇者一行の魔法使い、フリーレンが世界をふたたび旅するという後日譚ファンタジーです。その旅路では勇者一行との思い出の数々が描写されており、とくに勇者ヒンメルの関係性が印象的に描かれてきました。

 ヒンメルはフリーレンを大切に想っていたようですが、そこに恋愛感情はあったのでしょうか。これまでアニメで放送されたエピソードに限定して、原作のネタバレなしでヒンメルの言動を振り返ってみましょう。

 少なくともヒンメルにとって、フリーレンがかけがえのない存在であったことは間違いありません。たとえばヒンメルは魔王討伐の旅が終わった際、フリーレンから「暗黒竜の角」を預けられましたが、それを晩年に至るまで何十年も大切に保管していました。「暗黒竜の角」はたいして価値があるものではなく、おまけに人体に害がありそうな邪悪なオーラをただよわせていたのですが、そんなことはヒンメルにとっては重要ではなかったようです。

「暗黒竜の角」を部屋のなかで保管していたことを知ったフリーレンは、「適当に納屋にでも放り込んでおいてくれてよかったのに……」とこぼしますが、ヒンメルは「君にとっては軽い気持ちで預けたものかもしれないけど、僕にとっては大切な仲間から預かった大事なものなんだ」と返していました。

 ここではあくまで「大切な仲間」といっているものの、仲間以上の感情があるように思えて仕方がないのが、第3話の回想シーンです。フリーレンにスカートめくりをする村の悪童に対し、ヒンメルが激怒する場面が描かれていました。ふだんは温厚な性格のヒンメルですが、子供相手に「何やっとんじゃクソガキ! ぶっ殺してやる!」と暴言を吐くほど怒ります。

 果たして大切な仲間だからといってスカートめくりひとつにここまで激怒するでしょうか。ちなみにヒンメルは続けて「僕だって見たかったのに」と謎の悔しさを滲ませていました。

 このように同作では、物語の随所に恋愛感情とも、仲間を思いやる感情ともとれるような描写が多々見受けられるのです。

「蒼月草」に隠された想い

 なかでも印象的だったのは、フリーレンが「花畑を出す魔法」を披露したアニメ第2話の回想シーンです。花畑ではしゃぐ僧侶のハイターと戦士のアイゼンをよそに、ヒンメルは花冠を作り、そっとフリーレンの頭に被せました。そのときの彼はどこか愛しそうにフリーレンを見つめており、さらに「蒼月草」とよばれる故郷の花の存在を教えると、いつになく真剣な表情で「いつか君に見せてあげたい」と語りかけています。

 対してフリーレンは「そう、機会があればね」と冷静に受け流していますが、その様子を見守る視聴者たちは「故郷の花を見せたいって、それプロポーズなんじゃないか!?」「プロポーズにしか聞こえない」「花冠を被せたときのヒンメルの表情がすべてを物語っている」などと大盛り上がりしていました。

 そもそもフリーレンはエルフであるため、人間とかけ離れた寿命をもっています。だからこそヒンメルはフリーレンが未来でひとりぼっちにならないように、冒険で訪れた各地に銅像を残していました。ヒンメルはフリーレンと共に同じ時代を生きられないことを重々分かっていたのでしょう。

 ヒンメルとの記憶を辿る旅が進むことで、彼らの関係性はより鮮明になっていくはずです。フリーレンはそのとき、どんな感情を抱くのか、今後のアニメの展開からも目を離せません。