『魁!!クロマティ高校』DVD(バンダイビジュアル)

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賛否が分かれたロゼ事件

 今から20年前の秋頃には、超人気タイトルから爆笑もののギャグアニメも盛んに放送されていました。今回は、「もう20年前か」と驚く、今も人気の「2003年秋アニメ」を振り返ります。

『鋼の錬金術師』

『鋼の錬金術師』は2001年から2010年まで「月刊少年ガンガン」(スクウェア・エニックス)にて連載され、「ハガレン」の愛称で親しまれた大人気マンガです。

「錬金術」の存在する世界に生きる主人公・エドワード・エルリック(通称・エド)と弟のアルフォンス・エルリック(通称・アル)の兄弟は、幼い頃に病で亡くした母を生き返らせるため、錬金術のなかでも「人体錬成」という禁忌を犯して失敗。アルは全身を失い鎧に魂だけが定着した姿になり、エドは右腕と左足を失い「機械鎧(オートメイル)」と呼ばれる義手と義足を付けることになりました。失ったものを取り戻すためのふたりの旅は、のちに国家を巻き込む大きな戦いに発展していきます。

 そんな『ハガレン』は2度アニメ化されていますが、1作目のアニメ放送が始まったのは20年前の2003年10月です。当時、連載開始からわずか2年でアニメ化が決まったため、確実に原作に追いつくことが予想されていました。そのため原作になぞらえながらも、だんだんとオリジナルストーリーを展開していくことになります。

 なかでも原作にも登場する少女・ロゼに降りかかるオリジナルのハードな物語判、通称「ロゼ事件」は、20年経った今でも語り継がれるほどの衝撃展開で、原作者・荒川弘先生も苦言を呈していました。

 しかし、最終回も別解釈で描かれてはいるものの、「錬金術と引き換えにアルの身体を取り戻す」という点は原作と同様であり、アニメ最終回のその後を描いた映画『劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』も満足度が高い作品として、大ヒットしました。

『魁!!クロマティ高校』

『魁!!クロマティ高校』は「週刊少年マガジン」(講談社)で連載されていた、野中英次先生が原作のギャグマンガです。同作も2003年の10月からアニメが放送開始されました。

 選りすぐりの不良たちが揃う都内屈指の不良校が「都立クロマティ高校」です。優等生の主人公・神山高志は中学時代に助けられた親友と同じ高校に通おうと、引き算ができるレベルで入学可能なクロマティ高校を受験します。

 神山はもちろん合格するのですが、親友がまさかの不合格になりました。うっかりひとりでクロマティ高校に通うことになった神山は、一緒につるむことになるモヒカン頭の林田慎二郎をはじめ、もはや高校生に全く見えない風貌のフレディ、明らかに本物の動物な見た目のゴリラ、明らかにロボットにしか見えないメカ沢など、クセが強すぎる友人や仲間たちとなんだかんだで馴染みながらも、破天荒な学園生活を送ります。

『魁!!クロマティ高校』は、原作通りのカオスで破天荒な展開が描かれました。ギそんな本作は、ギャグアニメながらオープニング曲の作詞・作曲・歌を吉田拓郎氏が担当、作中登場する「クロマティ高校校歌」はサンプラザ中野氏が歌うなど、音楽で大御所を起用しているのも特徴のひとつです。

『ボボボーボ・ボーボボ』

『ボボボーボ・ボーボボ』は、2001年から「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載が始まったギャグマンガです。本作のアニメは2003年11月から放送が始まり、2年後の2005年10月に最終回を迎えました。

 300X年、マルガリータ帝国に支配されていた地球では、マルガリータ帝国皇帝ツル・ツルリーナ4世によって全人類をツルツルボーズ頭にするための「毛狩り」が始まりますが、毛の自由と平和を守るために「鼻毛真拳」の使い手の主人公・ボボボーボ・ボーボボが立ち上がります。ボーボボはビュティ、首領パッチ(ドンパッチ)ら個性豊かな仲間とともにひたすらに「ハジケ」ながら敵と戦っていきます。

 そのハチャメチャすぎる内容から「ストーリーに脈絡もない」「まったく理解できない」などの保護者層からのクレームもあったようで、日本PTA全国協議会による「テレビ番組に関する小中学生と親の意識調査」で、「子どもに見せたくない番組」に2004年と2005年の2年連続ワースト10にランクインしました。

 それでもアニメ化20周年を記念してポップアップストアやコラボ商品の展開がされるなど、当時リアルタイムで見ていた子供だった世代が大人になった今でも、人気は衰えていないのがうかがえます。