ヴィランたちの過去も明らかになった「僕のヒーローアカデミア 5th Vol.4」DVD(東宝)

【画像】トラウマ製造機だけど見たくなる? 『ヒロアカ』のヴィラン連合メンバーたち(5枚)

オール・フォー・ワンの絶望的戦力

 2022年10月からTVアニメシリーズ第6期の放送が始まった『僕のヒーローアカデミア』(原作:堀越耕平)は、「週刊少年ジャンプ」での連載もますます盛り上がるなか、アニメも「ヒーローvs敵(ヴィラン)」の全面戦争に突入し、怒涛の展開を見せていきます。ストーリーが進むにつれて衝撃的なカットが増えてくる『ヒロアカ』ですが、これまでも土曜の夕方という放送枠に囚われず、原作で「トラウマになりそう……」と話題になったシーンも、しっかりと描写してきました。今回は、そんなテレビシリーズで放送されたショッキングな回を振り返ります。

第3期49話「ワン・フォー・オール」

 死柄木弔(しがらき・とむら)率いる敵連合に攫われた爆豪勝己(ばくごう・かつき)を救出するための作戦をきっかけに、No.1ヒーロー・オールマイトと、その宿敵で敵連合の黒幕であるオール・フォー・ワンが激闘を繰り広げることとなった事件を描く回です。この一連のストーリーは「神野区の悪夢編」と呼ばれていますが、「悪夢」と言われるだけあって絶望を感じさせる場面が多くありました。

 その最たる理由は、それまで姿を現してこなかったオール・フォー・ワンが登場し、あっという間に街を半壊させるほどの力を見せつけるところにあります。平和の象徴であり最強の存在・オールマイトが圧倒されていく様子には、悲壮感が漂っていました。

 さらに、戦いの最中、死柄木がオールマイトの師にあたる志村菜奈の孫だという残酷な事実が明かされ、オールマイトは肉体的にも精神的にも打ちのめされます。そんな姿を見て、劇中の民衆と同じように衝撃を受けた人も多いのではないでしょうか。

第4期78話「燻る炎」

 作中ではヒーローたちの隆盛により絶滅危惧種となっていたヤクザ組織ですが、極道復興を目論みとある計画を企てる「死穢八斎會(しえはっさいかい)」の存在が明るみに出ます。その死穢八斎會との戦いのエピローグにあたる78話では、オーバーホールに最悪の展開が訪れました。

 組織の若頭であるオーバーホールは、「個性」を破壊する銃弾と、その血清を完成させていましたが、主人公の緑谷出久(みどりや・いずく)に敗北。そして、その後護送されているところを敵連合に襲撃され、銃弾と血清を奪われます。さらに、死柄木は自分の仲間を殺傷された意趣返しとして、オーバーホールの両腕を破壊し、二度と「個性」を使えないようにしました。悪役とはいえ、オーバーホールの結末はあまりにも後味が悪く、痛ましく描かれています。

 78話の冒頭で繰り広げられたこの壮絶なシーンは、死柄木役の内山昂輝さんの狂気の語り口調と、オーバーホール役の津田健次郎さんの痛切な悲鳴が鳥肌もので、恐ろしいのに何度も観たくなってしまう名場面となりました。

第5期111話「志村転弧:オリジン」

 ヒーローではなく、敵が主人公として描かれた一連のストーリー「ヴィランアカデミア編」で最も衝撃的だったのが、幼少期の死柄木にまつわる事件が明らかになった回です。当時の死柄木はヒーローに憧れる普通の少年でしたが、ヒーロー嫌いの父親からの抑圧と自身の夢との狭間で感情が爆発し、苦しんでいるところで「崩壊」という「個性」が覚醒、家族全員を文字通り崩壊させてしまいます。原作でもかなり残酷な場面でしたが、アニメでは崩れていく描写のグロテスクさが増しており、まさにトラウマになりそうなシーンになっていました。

「個性」が発現する前からヒーローに憧れていた姿は出久と重なる部分があり、環境やタイミングが違えば死柄木もヒーローになれていたのかもしれない……と思わせる回でした。物語のもうひとりの主人公が経験した地獄のような展開に、胸を痛めた人も多いことでしょう。

 ヒーローと敵の全面戦争が描かれる第6期では、さらに衝撃的な展開が待ち受けています。過激な描写も増えてきそうですが、出久たちが挑む壮大な戦いは必見です。