「高速道路では空気圧を高くする」はウソ?
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特に高速道路などを走行する時は、空気圧を高めた方がいいという何十年前から伝わる言い伝えのような話があります。
タイヤは高速で回転をしていると遠心力が掛かってきて、押しつぶされてきます。さらに熱を持つと破裂しやすくなるのです。タイヤの耐久性が現在よりも低かった時代には、空気圧が低めだと特にこういった現象が起きやすく、高速道路を走行する前には空気圧を高めにと言われていました。
しかし、これは過去の話として考えていただいて問題ないと思います。現在ではタイヤの耐久性もあがっており、走る道路に区別してわざわざ変える必要はありません。適正な空気圧であれば、一般道路でも高速道路でも大丈夫です。
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空気圧を高くしてはいけない理由
なぜ空気圧を高くしてはいけないかというと、タイヤがパンパンに張ってタイヤの接地面が丸くなることで、接地面積が大幅に減少するからです。
荷物が重ければ、それでもタイヤが地面に押さえつけられ、接地面積が稼げますが、荷物の少ない状態では、接地面が減る方向で変化します。それによって、加減速や旋回性能に大きな影響があり、悪天候時の性能は著しく低下します。
メーカーが公表している燃費を目指すのであれば、基準値の空気圧で走行することがベストだといえます。
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タイヤに”ひび”が入っている場合も注意
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また、タイヤにひび割れが出ている場合も要注意です。
そもそも交換するべき状態ですが、ゴムがひび割れるということは、タイヤに柔軟性が無くなっている証拠なので、高い空気圧に対して弱い状態です。基準値以上にはしないようにしましょう。
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空気圧が適正でない場合に発生しうるリスク
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空気圧が適正でない場合、空気圧が高い場合でも、低い場合でも発生しうるリスクは大きく3つあります。
1.走行性能の低下
空気圧を高く設定しすぎると、タイヤの接地面積が減少します。逆に空気圧が低すぎると、接地面積が増えすぎといった状態になります。
接地面積が正常でない場合、車が曲がらない、止まらない、加速しないなどの不具合に繋がります。最悪の場合では運転支援機能の誤動作に関与する可能性も。
高機能な車であればあるほど、こういった影響を受けやすいともいえます。
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2.タイヤの破裂(バースト)
空気圧が高いことによって、タイヤがバーストするイメージを持っている方が多いと思います。風船が破裂するのと大体同じ原理ですので、非常に想像しやすい状況です。
しかし、空気圧が低い場合でもタイヤはバーストする可能性があります。概ね1.0bar(100kPa)以下、空気圧が既定値の半分以下の状態においてもバーストの可能性は高くなります。
教習所では、スタンディングウェーブ現象というかたちで習いますが、潰れたタイヤが走行によって変形を繰り返し、タイヤに想定外の負荷がかかり破裂する現象です。
その他、タイヤに小さな亀裂がであっても破裂に直結します。亀裂周辺に、ポッコリと膨らみがある状態は、即交換が必要なほど末期ですので、洗車や時間のある時にタイヤ側面をよく観察することも予防のひとつです。
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3.燃費にも悪影響を与えてしまう
スバル レガシィの燃費計
燃費を重視した際、空気圧が高い状態は、良くもなく悪くもない状態ですが、お勧めできる状態ではありません。最悪なのは空気圧が基準値よりも低い状態です。
タイヤの空気が抜けた自転車を漕いでも進みづらいのと同じで、車のエンジンもタイヤを転がすために通常よりも多くの燃料を使用します。
せっかく燃費の良い車を買っても、自身でその性能を低下させては本末転倒でしょう。
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