車内にある「謎の穴」は何のため? 今や「お弁当」も入れちゃう時代に!? もはや「ドリンク」だけじゃない「インパネの穴」の歴史と未来

クルマのインパネや座席の周辺には、四角や丸の穴が備わっています。1970年代から始まったその歴史と、最新の意外な使い方について紹介します。

「室内の穴」が後席まで普及したのはここ最近のことだった

 クルマのインストルメントパネルやセンターコンソールに備わっている丸型や角型の穴は、運転中に小物などを散乱させることなく入れておける便利なスペースですが、本来は多くの人がご存知の通り、運転中に飲むドリンクを置くための「ドリンクホルダー」として設置されています。
 
 今では当たり前のように備わっているドリンクホルダーは、ミニバンなどの多人数乗車が可能な車種では乗車定員以上の数が用意されている車種もあるほどですが、実はクルマに標準装備となったのはここ最近のことでした。

 そもそもクルマ用のドリンクホルダーが登場したのは1970年代後半のこと。

 アフターパーツメーカーが、カー用品のひとつとして販売したのが始まりと言われています。

 その頃はまだドリンクホルダーを設置できる場所も限られていたため、ドアトリムの窓とのスキマに引っかけて使用する形状となっていました。

 それが1990年代に入るとエアコン吹き出し口に装着し、エアコンの冷風や温風でドリンクの温度を保つ機能も併せ持つタイプの商品が人気を博しています。

 もちろん自動車メーカーも80年代に入ると徐々にドリンクホルダーを標準装備する車種が増えてきますが、当時はドリンクと言えば細身の缶(現在のエナジードリンクでよく見る形状)が中心でした。

 というのも、現在は当たり前のように我々が手にしている500mlのペットボトル飲料が解禁となったのは1996年のことで、それまでは自販機などで気軽に購入できるドリンクといえば、250mlの缶飲料が主流だったのです。

 そのため、1996年よりも前に登場した車両の多くの純正ドリンクホルダーは、現在の500mlのペットボトルが入らないサイズとなっているのでした。

 このように時代の流れとともにサイズや形状、設置場所などが変化してきたドリンクホルダー。

 ひと昔前まではシフト周辺のセンターコンソールが定位置となっていましたが、現在ではセンターコンソールのほか、手が届きやすく、エアコンの風で温度のキープがしやすいインストルメントパネル左右のエアコン吹き出し口の前などに設置されることが多くなっています。

 また最近ではドリンクのほか、純正灰皿が消滅したことでカップホルダー型の灰皿の置き場として活用されたり、ドリンクホルダーに固定するタイプのスマホホルダーが存在していたりと、ドリンクホルダー以外の活用方法も増えてきています。

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 そして近年では、大容量かつ手ごろな価格が人気となっている紙パック飲料も置けるように、角型のドリンクホルダーを備えるクルマも増えてきています。

 そこに注目した日産は、ドライブ中でも楽しめるようにワンハンドで食べられることや、液状の料理を避け、車内を汚さないようにするなど、「クルマ専用のお弁当」として工夫を凝らした料理を盛り込んだ「道弁(みちべん)」を開発しました。

 道弁は、東名道のEXPASA海老名や、新名神道の宝塚北サービスエリアで販売する試みを行うなど、更なるドリンクホルダーの活用方法も生まれているのです。