人気の道の駅の条件というと、どんなものを思い浮かべるでしょうか?

充実した直売所だったり、豊富なグルメだったり、広々とした敷地だったりとさまざまありますが、「ノスタルジー」という全く違う魅力で一気に全国区になった道の駅があります。千葉県鋸南町の「保田小学校」です。

2023年10月、その保田小学校に新たな施設が加わりました。道の駅に隣接してオープンしたのは、その名も「保田小附属ようちえん」です。幼稚園と聞くと小学校に続く2匹目のドジョウ狙いか? と勘ぐってしまいますが、これまでの道の駅の課題を解決する考え抜かれた施設になっています。

今回は、保田小附属ようちえんの魅力を紹介していきたいと思います。

「保田小学校」ってどんな道の駅?

保田小学校は、改めて紹介するのがはばかられるほど著名な道の駅になりましたが、廃校になった小学校をリノベーションして2015年にオープンした道の駅です。体育館を直売施設、教室を飲食施設や宿泊施設にしていて、備品なども実際に使われていたものを活かしつつ、当時の面影が感じられるノスタルジックな雰囲気漂う場所として世代を問わず注目を集めてきました。

年間観光入込客数は78万人(2022年)、売上も7億4千万円(2022年度)と鋸南町が掲げた「都市交流施設」としての機能を十二分に発揮して、名実共に全国区の道の駅になりましたが、訪問者が増えれば増えるほど“ある悩み”を抱えていました。

廃校になった小学校をリノベーションした道の駅「保田小学校」

1つは慢性的な「駐車場不足」。校庭だった場所を駐車場にしているため拡張が難しく、少し離れた場所に臨時駐車場を設けていました。もう1つは昨今、道の駅の命題にもなっている「子育て支援環境の整備」。校舎は限られており、屋内外含めて充分なスペースを確保することができないジレンマがありました。

これらの課題を解消すべく計画されたのが、隣接していた旧鋸南幼稚園の活用です。保田小学校同様、元々の建物をリノベーションすることで機能拡張を図りました。

道の駅「保田小学校」(鋸南町)

・施設情報ページ:https://www.mobilitystory.com/michinoeki/detail/chiba/hotashogakkou/
・公式HP:https://hotasho.jp/
・千葉県の道の駅一覧:https://www.mobilitystory.com/michinoeki/chiba/

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子育て世代には嬉しい仕掛けがいっぱい

円環状の歩道「わっか」が目印の保田小附属ようちえん

敷地に入ってまず驚くのが、大きな円形の屋根付き歩道、通称「わっか」。子ども用の遊具のある芝生の広場をぐるりと囲んでいて、小学校側から雨でも濡れずに移動できます。また、日差しを避けられるので、広場で遊ぶ子どものみまもりスペースにもなります。

建物の中には、カフェスタンドを併設したプレイカフェができました。ペットロボットのaiboがお出迎えしてくれる、およそ250平方メートル、テニスコート1面分あるキッズスペースには滑り台やサンドバッグ、ハンモックなどが設置されています。

プレイカフェのキッズスペース

こういった施設は滞在時間を増やす効果が期待できますが、子どもを遊ばせる場所をつくってほしいという町民の要望が具現化されたものだといいます。町内の子育て世代にも嬉しい施設なのですね。

ちなみにカフェでは、小松菜やニンジンなど季節の食材を使ったスムージーが味わえます。道の駅の直売所で残った野菜などもフードロス対策で再利用していく予定だそうです。ほかにも給食で実際に使われているパンを使った、ナポリタンを挟んだ“昭和のナポリパン”や“給食ハムカツパン”も提供しています。