なぜ「27年落ち軽バン」が“新車価格”超えた!? サビ傷ありのホンダ「軽バン」が驚愕の高値で米に出現

アメリカのオークションサイト「Cars & bids」で新車価格を超える値段で取引された軽バンとはどのような個体なのでしょうか。

新車価格超えに驚き! 27年落ち「軽バン」どんな個体?

 2023年10月5日、アメリカのカーオークションサイト「Cars & bids」において、ホンダの軽バン「ストリート」が1万1200ドル(当日レートで約166万円)で落札されました。
 
 どのような個体なのでしょうか。

 Cars & bidsはアメリカのオークショニアです。日本をはじめ、ヨーロッパや米国などのクルマを取り扱っており、1981年以降のクルマ幅広くオークションが開催されています。

 今回落札されたのは1996年式ストリートで、走行距離は10万3900キロを走行しているとされる個体です。

 ストリートは1981年に登場した軽キャブオーバーバンで、軽商用バン「アクティ」の上級版にあたります。

 基本構造はアクティをベースにしており、MR(ミッドシップ)レイアウトやモノコックボディの採用など、他メーカーの軽バンとは異なる特徴を持っています。

 落札された個体のモデルはそのうち1988年に登場した2代目で、1996年のマイナーチェンジでウインカーがクリアレンズ化された後期型です。グレードは最上級モデル「Xi」で4WDモデルとなっています。

 北米には2023年3月に輸出されたようで、東部オハイオ州で登録されているといいます。

 エクステリアは27年落ちとしてはかなりキレイに維持されており、いくつかキズやヘコミ・サビはあるものの、大きなものは見当たらず、グレーの2トーンボディは艶も十分にあり、美しい状態が保たれています。

 フロント・サイド・リア下部にはそれぞれガードバーが取り付けられており、ホイールはワーク「マイスター」15インチアルミと扁平タイヤを装備。ダウンサスも装着されローダウンされるなど、いくつかのカスタマイズが施されています。

 最大積載量を示す「200kg」の表記や、「REALTIME4WD」「PGM-Fi」といったステッカー類も、剥がれることなく残存しています。

 左クォーターウインドウには神奈川県相模原市内の警察署で発行された車庫証明ステッカーが残っていることから、日本国内における最後のオーナーはこのエリアで乗られていた可能性があります。

 インテリアは年式相応の汚れは見られますが、ダッシュボードの割れやシートの切れなどは見られず、かなりキレイな状態です。

 荷室部のカーペットはスレがほとんど見当たらず、パネル類などもキズが少ないことから、荷物を積載することの多い軽バンとしては極めて良い状態といえます。

 なお、最上級グレード専用のツインサンルーフも正しく動作しているようで、室内を明るく演出しています。

 660ccの直列3気筒エンジンが搭載されるエンジンルームは年式なりの汚れが見受けられますが、販売者によればタイミングベルト、ウォーターポンプ、エアフィルターを最近交換したといい、機関系にもしっかり手が入っているようです。

 入札は9月中旬に3000ドルでスタートし、36件もの激しい入札合戦を繰り広げた後、1万1200ドルで落札。

 日本固有の希少な軽バンであることや、比較的キレイな状態で残っていること、4WDの5速MT車であること、さらにはカスタム内容評価されたのか、約136万円の新車当時の価格を超えるプライスで取り引きされ、次のオーナーへと引き継がれていきます。

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 北米では「25年ルール」という決まりがあり、通常走行ができない右ハンドル車であっても製造から25年が経過すればクラシックカーとして登録でき、公道が走行可能になります。

 近年は映画やマンガ、アニメなどの影響から日本車の人気が高まっており、その影響を受けて1980年代から90年代のスポーツカーが輸出され、高値で取り引きされています。

 一方で、北米では軽自動車の人気が近年著しく高まっており、現地では全長5mを超える大型乗用車が少なくないなかで、4mを切るコンパクトなことや、愛らしい見た目で壊れない点、しかも燃費もよく、荷物もたくさん積むことができるなどが評価され、「JDM kei truck/van」として親しまれています。

 北米では軽トラ専門店も存在しているようで、25年経過した中古の軽バン・トラは今後ますます需要が高まるかもしれません。