全国の「整備新幹線」計画 実はもう「高速道路では実現済み」? 夢の交通網どこまで完成したのか

山陰地方や四国など、新幹線の建設構想はまだ全国各地にあります。いっぽう、その役割を代替する高規格道路は、いまや大部分が開通済みとなっています。どこまで完成したのでしょうか。

全国の新幹線網と高速道路網

 日本の新幹線は、2022年一部開業の西九州新幹線や、建設中のリニア中央新幹線を含め、まだ全国に計画があります。設計・工事など実行段階に移されているのが「整備新幹線」ですが、北陸以外の日本海側ルートや四国など、さらなる検討路線があります。

 それらは1973(昭和48)年の「全国新幹線鉄道整備法」でリストアップされましたが、半世紀経っても、なかなか実現に向けて進展はありません。

 その一方で、新幹線が構想されているネットワークは、高規格道路の整備によってその役割を先に担おうとしています。

 1957年に施行された「国土開発幹線自動車道建設法」でリストアップされた高規格道路も、気づけばほぼ全ての路線が事業化。全国を見渡しても、基本計画止まりなのは新東名の海老名~東京など、わずか数区間しかありません。日本の高速道路は、いよいよ完成を迎えつつあります。

 新幹線の構想路線と並行する高規格道路も、どんどん開通を迎え、全通間近な状況です。具体的に、各地でどんな整備状況となっているのでしょうか。

●羽越新幹線

 東北地方の日本海側を縦断し、新潟県から青森県までをつなぎます。糸魚川付近から直江津、長岡、新潟、酒田、秋田、弘前といった都市を結び、東京や大阪が飛躍的に近い存在になります。

 まず、富山方面から新潟までは、北陸道が開通済み。そこから北へは「日本海東北自動車道」などとして、細かい工区ごとに順次事業化、建設工事が進められ、NEXCO東日本もしくは国の直轄事業として一歩一歩着実に開通していきました。新潟~青森で、主な未開通区間は以下の通りです。

【工事中】朝日温海道路(朝日まほろばIC~あつみ温泉IC 約40.8km)

 JR羽越本線も崖っぷちの海岸線沿いを通る新潟・山形県境の難所です。2013年に事業化。鉄道よりもやや山側のルートをとりますが、ほとんどがトンネルで、長さ1007mの1号トンネルが掘削完了、2号・4号トンネルが掘削中です。

【工事中】遊佐比子IC~遊佐鳥海IC~象潟IC

 山形・秋田県境もまだ開通していません。このうち、遊佐鳥海までが2023年度中に開通予定。そこから県境を越える「遊佐象潟道路」は、2025年度の開通めどとなっています。

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果てしない未来と思われていた「山陰自動車道」も

●山陰新幹線

 兵庫・鳥取・島根・山口の日本海側を丸ごと結ぶ壮大な計画です。新幹線の実現については、2023年3月に「推進市町村会議」のWebサイトが開設されるなど「草の根運動」が行われている状況です。

 高規格道路の整備もやはり壮大な計画ですが、徐々に「全通」が見えてくるほど、気づけばかなりの区間が完成しています。

【ほぼ事業化・開通済み】山陰近畿道(宮津~鳥取)

 京都縦貫道の延長線上で豊岡へつながる部分は、京都・兵庫県境周辺が未事業化。そこから先、豊岡~鳥取はほぼ開通済みで、工事中は「浜坂道路」、未事業化区間は「竹野道路」と鳥取市街の2工区のみです。

【あと1工区】山陰道・鳥取県内

 はわいIC~大栄東伯ICが2026年度開通予定。残りはすべて開通済みです。

【断続的に開通済み】山陰道・島根県内

 出雲市周辺や石見地方でいくつか未開通区間があります。出雲市内は2024年度、大田市内は2023年度、浜田~益田市境が2025年度開業予定。残り区間も、江津付近をのぞき、すべて事業化しています。

【断続的に開通済み】山陰道・山口県内

 開通区間は萩市街周辺と長門市街の短い2区間のみ。山口・島根県境付近や終点の中国道接続部など、未事業化区間もまだ多く残っています。