2代目GDBまでの勢いはどこへ?誰も乗らないGRB

現在のWRX S4の源流と言える2.5リッターターボで5ATの「インプレッサWRX STI A-Line」

スバルとしては、当時のWRCで主力のWRカーがシトロエン C4やフォード エスコートといったハッチバック車主体となっており、図体がでかくて小回りの効かない4ドアセダンの2代目インプレッサWRカーでは戦えないと、3代目では5ドアを主力としたようです。

しかし、発売直後からリアへ新たに採用したダブルウィッシュボーン・サス、開口部の大きいハッチバックボディが剛性や容量不足のウィークポイントとして指摘されていました。

WRカーでは、車両開発担当のプロドライブが早々にリアのストラット化を決めたものの、2008年シーズンから投入された3代目インプレッサWRカーは熟成も進まぬまま苦戦し、結局は同年に起きた世界的大不況「リーマンショック」の余波で同年限り撤退となります。

そして国内でも、既に2006年あたりを境に主要な競技の2リッター4WDターボ車クラスはほとんどがランエボへ乗り換えており、インプレッサなどほとんど使っておらず、当然3代目GRBなどほとんど誰も乗りません。

全日本ジムカーナ選手権では大橋 渡選手が、全日本ダートトライアルでも北村 和浩選手が、改造範囲が広いナンバー付きのSA車両で粘り強くGRBを使ったものの、改造範囲が狭く、もっともノーマル車両での差が出やすい主力のN車両ではほぼ皆無。

全日本選手権でその有様ですから、全国各地の地区選手権、さらにその下の、マイナー車率が上がる初心者〜中級車向けイベントですら、GRBなどほとんど見かけません。

初代GC8から2代目GDBまで無敵を誇るようなベテランドライバーでも、「リアサスがな…」「ハッチバックだし…うちファミリカー兼用だから」と、さりとてランサーに乗り換えるわけでもなくGDBを使い続けていました。

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WRX S4原型の「A-Line」と4ドアWRX STIのGVB追加

モデルチェンジ4年目の2010年になってようやく追加された4ドアセダンのVAB型WRX STIだが、これが最初からあれば…

2代目からパッとしなくなっていた販売台数は、いくらかマシになったとはいえパッとせず、特にGRB型インプレッサWRX STIはほとんど見かけません。

そのうちスバルもこれはマズイと思ったのか、日本国内でも2008年10月に4ドアセダンの「インプレッサアネシス」を投入し、これが4代目以降のインプレッサG4(4ドアセダン)、インプレッサスポーツ(5ドアハッチバック)の元となり、XVも初登場。

WRX STIも2009年7月に先代にも存在した競技用スペックの「スペックC」が900台限定で登場しましたが焼け石に水でランエボのシェアへ割り込むには至らず、むしろ同年2月に登場していた「A-Line」(GRF型)が注目の存在でした。

これは300馬力の2.5リッターターボ+シーケンシャルモードつき5速ATを搭載した「高級スポーツバージョン」、あるいは「GT」的なポジションの新グレードで、現在のWRX S4の元祖ともいえる存在です。

さらに2010年7月には、正式車名はそのままで、カタログなど表に見える部分はインプレッサから独立した「WRX STI」を名乗り、5ドア版GRB/GRF(A-Line)と、4ドアセダン版GVB/GVF(A-Line)を設定。

遅ればせながら4ドアセダンを追加すると同時に、2014年にVAB型「WRX STI / S4」へモデルチェンジするまでの「初代WRX STI」(A-Lineは後のWRX S4相当)として販売されましたが、それまでにすっかり、ランエボと比べマイナー車になっていました。