車を運転中、ふとしたミスで障害物に当たってしまい、ボディにヘコミができてしまった……ということはありませんか?

現在の車は昔の車と比較するとボディが柔らかくなっているから、ちょっとしたアクシデントでヘコミができやすくなっています。”柔らかいボディ”の安全性は問題ないのでしょうか?

柔らかいボディはむしろ安全?その理由は

車のボディが柔らかくなった理由は2点あります。1つ目が、燃費向上のためにボディ全体を軽量化しているためです。

車のボディにメインで使われている素材は鉄です。これは、車台やボディ全体をひとまとめにして作り上げる「モノコックフレーム」が車の大量生産に最適だったため。モノコックフレームには、軽量ではなかったものの強度に優れて加工のしやすさが強みだった鉄が採用されたのです。

しかし、近年は高い燃費性能が車に求められるようになりました。そこで、ボディの軽量化を図るべく、薄くても強度のあるハイテン材(高張力鋼板)、軽量で柔らかく加工のしやすいアルミニウムがボディの生産に使われるようになりました。

他にも、FRP(繊維強化プラスチック)やカーボンファイバーなどの、軽くて丈夫な素材が車のボディに使用されています。これらは鉄に比べると薄く、変形しやすいため、結果的にボディが柔らかくなるのです。

日産・マーチ(K13型)のボンネット ©長谷川 優人

車のボディが柔らかくなった2つ目の理由は、交通事故から乗る人と歩行者を守るためです。

車のカタログをチェックすると「衝突安全バンパー」「衝突安全ボディ」などと書かれているのを見たことがあるかもしれません。これらは、歩行者や車、障害物と接触・衝突した際、車内にいる人に、加えて対人・対物保護を目的としたものです。

衝突時に生じるエネルギーを吸収すべく、乗員のいるキャビン部分は「セーフティゾーン」として、素材の強度を高めることで乗る人を保護できるのが特徴です。

一方、エンジンボンネットやトランク・ラゲッジスペース部分は「クラッシャブルゾーン」としています。衝突時に柔らかく、つぶれやすい構造となっており、乗員だけでなく歩行者や障害物に危害を加えにくくしているのです。

つまり、乗員が乗る部分以外の車のボディは、安全性を考えてむしろ柔らかく作ってあるというわけです。

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うっかりボンネットを凹ませないように気をつけよう

軽量化、衝突被害を抑えるために車が進化を続ける中、ボディが柔らかくなったことによるトラブルもあるようです。最も気をつけたいのがボンネット。

日頃、筆者は新型車をチェックするためディーラーに足を運びますが、展示車のエンジンをチェックしたいときは細心の注意を払っています。

その理由は、衝突時の衝撃吸収も考慮して、ボンネットにもハイテン材やアルミニウムが使用されているからです。

©琢也 栂/stock.adobe.com

昔のボンネットは、乗降用ドアと同様に力を入れ、押し付けて閉める方式も多くありました。ボンネットに手を当てて、力を入れて閉めている人も多かったでしょう。

しかし、今のボンネットは、ある程度の高さまで下ろしてから手を離し、軽く落とすだけで閉まるような仕組みが多くなっています(ボンネットの開閉にエアダンパーが使われていると閉め方が異なり、若干の勢いを加えて閉めることもあり)。

ディーラーの営業と会話しつつ新型車の説明を受けているときも「ボンネットの開け閉めには注意してください、凹みができてしまう可能性がありますので」と注意を受けることがあります。

スバル WRX S4のボンネット「超張力鋼板」が随所に用いられているボディ構造 ©長谷川 優人

ボンネットを閉めるときは上から押し付けず、ある程度の高さまで下ろしてから手を離すようにすると、凹みができにくいです。

同様に、洗車中にむやみな力加減でボディに手や身体を押し付けたり、自宅で車の車庫入れ中に出っ張りのある壁にちょっとボディをぶつけただけでも、ボディを凹ませる可能性があるでしょう。特に、フロントとリアの部分には注意を払いたいものです。

台風などの自然災害でボディにダメージが発生するのはやむを得ませんが、”人為的要素”で自らボディに凹みを作ってしまうと、心の”ヘコミ”もできてしまうでしょう。車の扱いに注意して、長い間気持ちよく乗り続けたいものですね。

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