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『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介監督最新作『悪は存在しない』/ 静かにのめり込ませるセリフの力&ラストの解釈を語り合いたい

Pouch[ポーチ]

濱口監督作『偶然と想像』でも、女性ふたりが車内で恋愛について延々と語るシーンがあり、セリフからそれぞれのキャラクターが浮かび上がっていました。

本作でも説明会のシーンはもちろん、説明会後、高橋と黛が車中で語るシーンで町の人たちへの意識が変わっているのがよくわかります。そして不器用ながらも懸命に歩み寄ろうとするんですよ。

説明会では悪役のような存在だったのに、ステレオタイプの悪役にせず、何気ないセリフのやり取りでキャラクターを明確にしていくところはさすが! このふたりの変化が後半の物語を牽引していくのです。

【主人公と娘とラストの解釈】

グランピング建設と並行して、巧と娘の生活も描かれます。巧は、仕事終わりで公園で待っている娘を迎えにいくのですが、いつもお迎えが遅いんです。このお迎えが遅いことが、のちの出来事につながっていきます。

ネタバレになるので多くは語れませんが、鹿が野生の象徴として描かれており、大自然の美しさと野生の猛々しさは同じ線上にあるのだろうか……と。そこで生きる人間は、自然に癒され、野生に振り回されながら共存していくんだなと考えさせられました。

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ラストはいろんな解釈ができるので、映画鑑賞後、ぜひ皆さんで語り合ってほしい作品です。

執筆:斎藤 香(c)pouch
Photo:2023 NEOPA / Fictive

悪は存在しない
(2024年4月26日より全国ロードショー)
監督・脚本:濱口竜介
音楽:石橋英子
大美賀均 西川玲
小坂竜士 渋谷采郁 菊池葉月 三浦博之 鳥井雄人
山村崇子 長尾卓磨 宮田佳典 / 田村泰二郎

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